慈眼寺 副住職ブログ

ビルヂング

hundrtwasser

先日百貨店のお話をしましたが、新しい建物に、最近あまり魅力を感じません。
コストパフォーマンス最優先で、工期を短くし、テナントをなるべく詰め込んだ場所貸し業最優先で、建物の中の楽しさというものを感じません。
「あそこに入ってみたい!」という気持ちが起こりません。

淀屋橋や肥後橋など古くからのビジネス街にある古いビルヂングには、「100年もたせよう」という気概のようなものを感じます。
堅牢な石造りですが、温かみもある。最近建て直されましたが、
大阪のダイビル(http://daibiru-tsushin.com/special/)なんかも好きなビルです。もちろん中央公会堂も素敵です。小さいですが北浜レトロビルヂングや芝川ビルもいいです。いまだに全然古めかしくない。逆に新鮮な気持ちになります。北浜・高麗橋のほうにはそういういいビルがいっぱいあります。

ミナミにも農林会館がありますし、奈良にだって奈良ホテルがあります。京都も古い日本建築に混じってレトロビルはたくさんあります。三条のあたりに多いですよね。あとは河原町の「寿ビルデイング」とか。見つけるとウキウキします。自転車はああいうビルを見て回るには最高の移動手段ですよね。

まぁ、懐かしむばかりではダメなのですが、明治~大正から昭和初期にかけての、洋風建築を物凄い勢いで吸収していた頃のビルや建築物は、堅牢で、同時に爛熟とでも言うような豪華絢爛で手間ひまを惜しまない感じがして見飽きません。もちろん使い勝手などいろいろ現代にそぐわない部分はあるのでしょうが、それでも時代を超えた良さがあります。

ウィーンを旅した時に、フンダートヴァッサーハウスという住宅にたどり着きました。正直、コンセプトの「自然との調和」達成できてるとはあまり思えない部分もなきにしもあらずですが、とにかく中に入ってみたい!住んでみたい!という気にはなります。大阪舞洲にも実はこの建築家、フンダートヴァッサーの作品があるのです。大阪市のごみ焼却場として。折角の世界的建築家の作品ですが、場所が場所だけにあまり知られていません。ウィーンにも彼のデザインした焼却場がありますが、電車に乗ってるとすぐに気づきます。舞洲の方は突然埋立地にあんな奇抜なものが現れるので、意味も分からず宗教施設だと思われたり(大阪人は特によく似たものを知っているので)、焼却場に無駄な予算を!と怒られたりしています。私はいいと思うのですが。

なんにせよ、100年の大計ではないですが、日本にはせっかく法隆寺だとか姫路城だとか、正倉院だとか、ものすごい建築のノウハウがあるのに、ここ最近の大きなビルのつまらなさったらないです。効率重視で完全に合理的で、会社のデスクの中のようにつまらないです。もうちょっと宝物のような要素がほしいですねぇ。たとえば阪神百貨店の階段に、アンモナイトが露出してる大理石がありますが、そういう発見とか、あったら楽しいですよねぇ。

なんだか最近世の中に苦言ばかり呈している気がしますが、とにかく面白いビルを見たいのです。竹田城なんてもんが人気の出る時代ですから、少々使い勝手が悪くても、秘密基地みたいなビルヂング、欲しいです。奈良ドリームランドの廃墟も廃墟感だしたまま再利用できないかなぁ。フェスティバルゲートもすごくいい感じの廃墟だったんですが、敢えて廃墟感を出した建物とか、コンビナートっぽい建物とか、木の根っこを引きちぎらないと奥に進めない建物とか、そういうの、ダメでしょうか?(笑)

最近カテゴリ「その他」の日記ばかりですね。仏教ネタが少なすぎてピンチです!