CEEPO試乗
トライアスロン、はじめません。
さて、先日夕方少しだけ時間がもらえたので、サクッと普段なかなか乗れない自転車の試乗をさせていただきました。
ちなみに写真は昼ですが、試乗は夜のサイクリングロードです。
日本のトライアスロン用バイクのメーカー、”CEEPO”のMambaです。
「え?トライアスロンはじめるの?」
いえいえいえいえいえ。断じて否、です。
全然そんな気ありません。
確かに、自転車乗ってて、マラソンも出た、あとは泳いだらトライアスロンです。小学校時代5年間はスイミングに通っていて4泳法は紛いなりにも泳げますけども、ちょっとさすがにそこまでは。なにより練習時間取れないですし。自転車だってわざわざTTバイク要らないですし。仮にトライアスロン出たとしてもせいぜいロードにエアロバーつけたら十分です。それすら要らないかもしれません。私なんか。
とはいえ、タダで乗らせてくれるというのですから滅多にないチャンス、活用させていただきました。
マンバ、どんなモンだ?(自爆)
今回のMambaはTTバイクというよりは、ロードとしても使えるTTバイク、という位置づけ。空力に優れたロードということで、まぁいわゆる「エアロロード」というカテゴリに入るのでしょうか?このあたりは全体的にやや平べったいけどガッシリしたフレームの見た目からも感じられます。
しかしよく「空力」と言いますが、実際にこういう流線型で平べったい形状で風の抵抗を軽減する恩恵を受けられる速度域は40km/h以上といいますから、40以上でコンスタントに走れる人でないと、なんの意味もない、ただの太刀魚みたいな自転車だということになります。
そんなわけで「正直どうかなぁ」という、いささか懐疑的な感じで乗ってみました。いかに夜のサイクリングロードとはいえ、速度域はせいぜい30km巡航というところでしょうか。
「すごい空力!」
・・・は正直思いませんでした。そこまでの速度出てないですし。ですが、普通のロードバイクとしても、色々と印象に残る乗り味ではありました。
味見だけはしまくっている私
実は私、ロードバイクの試乗というものが大好きで、色んな自転車にタダで乗りまくっています。100万を超える高級車にも乗らせてもらいました。材質もカーボン、アルミ、クロモリ、ホイールもBORAもコスミックカーボンも味見はしました。電動アルテもスーレコもスラムのライバルも乗りました。アメリカ系はほとんど乗ったことがないですが、ヨーロッパのバイクはかなり乗ったと思います。cervero、time、cinelli、ORBEA、Carrera、casati、tommasini、COLNAGO、KUOTA、GIOS・・・色々乗ってみました。そんなわけで、比較対象はわりとたくさんあります。家のショールームなんて行ったら、翌週から営業の攻勢がすごくて大変ですが、自転車にそういうのは一切ありません。自動車の試乗もわりと気軽ですが、自転車はもっと気軽。正直、乗り味なんて構成しだいでなんとでも操作できますが、それでも色々と乗ってみるのは実に楽しいものです。
高級カーボンバイクとは?(試乗で知ったかぶり)
まずですね。いわゆる「高級カーボンバイク」の乗り味とは若干異なります。ミドルグレードですから当然です。と、いうよりCEEPOでは一番安価な部類のようですから、エントリーグレードといっていいかもしれません。とはいえ、おいそれと買える値段ではありませんが。そもそも「高級カーボン」とはどんなものか、を超主観的に、一言で言ってみたいと思います。私の試乗の結論は、
「高級カーボンは、幽体離脱させる」です。
何を言っとるんだ、とお思いかもしれませんが、カーボンそのものの特性は、とにかく軽いということです。軽いと、入力に対する反応が早くなります。さらに、カーボンは剛性も高い。つまりガッシリしてるわけです。足で踏み込んだ力をガッシリ受け止める。この二つの特性によって、簡単に言えばカーボンは「踏むとすごく進む」のです。これが実に不思議な感覚で、金属の響くような感じではなく、乾いた感じのパリッとした、余韻のない、そういう踏み心地とともに、想像以上に身体が進む感覚がカーボン全体にあります。これが高級カーボンになればなるほど感じられ、「えっ!そんなに進むの!?」と毎回新鮮な感じがするわけです。自分の想定より半歩か一歩は先に動いているイメージ。これが「幽体離脱」という表現で私が言いたい内容です。高級な自転車ほどその傾向が強い気がします。これはポジティブに言った場合の印象ですが、ネガティブに捉えれば、自転車に「もっと速く!もっと踏め!」と常に急かされている気分になるということになります。機材に負けてる感じ、ということですね。
で、マンバはどうなのよ。
で、マンバ。高級カーボンのパリッとした感じはない。しかし、踏めばしっかり進む。当たり前のようですが、それがすごく自然といいますか、追い風を受けたような、といえば大げさに聞こえるかもしれませんが、入力に対し、実にちょうどいい感じで進ませてくれる。回すペダリングより、踏むペダリングが向いている気がします。踏めば踏むほど進むので、楽しさがあります。さらに言えば、不快な硬さも、急かす感じもないので、人間の呼吸に合ったリズムといいますか、「ちょうどいい」感じがすごくします。かといって剛性不足かといえばそれは決してなく、BBまわりの堅牢さはハッキリと感じられます。太い樫の木のようなしっかり感。
「空力」は正直わかりません。しかし、意外に面白かったのが坂。登りが思いのほか楽なんです。やはりぐいっと踏んだときに一番力を発揮するタイプ。平地で空気抵抗を減らし淡々と進むはずのエアロロードが、案外坂に適応して、登ると楽しそうです。これは本当に意外でした。
結論として、
・高級カーボンとは違う乗り味、しかしそれはネガティブなものではない。むしろ人間の入力に対して心地よい反応をする。
・踏んでいて楽しいバイク。体力があり、ガシガシ踏む人向き。
・案外登れる。
というものになります。まさにトライアスロン競技者向けということになります。空力的なものはどちらかというとかつて試乗したcerveroのS5のほうが感じたのですが、アレは総額100万超えでホイールがEASTONのディープリムでしたから、シマノ WH-9000-C24をはいている今回のマンバとは正直フェアな比較ではないでしょう。ほとんどディープリムの風切り音による錯覚だと思います。総額40万前後の自転車としては実に必要十分な上に、カーボンとしては非常に人間的な反応をしてくれる面白いバイク、というのが主観的な結論になります。これでコンポを今回の105からランクアップし、ホイールをちょっとランクアップすれば、競技者の人にとっても満足度の高い自転車になるのではないでしょうか。
ちなみに、高級カーボンとは違う、と言いましたが、安いカーボンのグニャグニャした芯のない感じとは全く違います。むしろ芯はかなり感じられます。アルデンテです。高級カーボンは全部一律に硬い感覚なんですよね。しかしカーボンと一口にいっても、アレンジでこんなに感覚が変わるのか、とビックリしました。
おまけ
ビックリついでに試乗したお店で見せてもらった面白いモノ。
コレなーんだ?
Veloce?
コレ、カンパニョーロのヴェローチェ、の、フラットバー用コンポなんですって!初めて見た!
以上、仏教から遠いにも程がある日記でした。
お粗末。