慈眼寺 副住職ブログ

ジャイアントとジオスで悩む前に初心者がおさえるべき3つのポイント

YOUはなぜ今クロスバイクを?

現在、クロスバイク購入を計画しています。
散々ロードバイクを乗ってるのになぜそんなものを買うのか?当然自分用ではありません。
妹の娘たちが来年幼稚園・小学校へそれぞれ入園・入学し、妹の自由時間が増えます。車の運転が苦手でどこへでもママチャリでいく妹。
高校時代は名門一条高校バスケ部、大学時代は10キロくらい先のバイト先まで毎日自転車で行ってたような体力バカです。兄らしいことも全然やってあげられてないのに、娘の面倒までみてもらったりしてるので感謝の気持ちを込めてプレゼントです。
本当はロードを買ってやりたいのですが、街乗り中心になるし、整備ができるとも思えないし、怪我されても困るし、僕がお金無いしでクロスバイクに決定しました。

しかし、9年ぶりくらいにクロスバイク購入を検討して、「クロスバイクって、難しいなぁ~」って心から感じています。
ロードほど本気でやりたくない。かといってママチャリは嫌だ。日々の生活に少しだけスポーティさと贅沢が欲しい。言ってみれば高い「ふりかけ」みたいなものです。しかしこの「存在の曖昧さ」がこれほど私を悩ませることになろうとは・・・。

魑魅魍魎のクロス

クロスバイクは不思議な存在です。一般的な定義では、「ママチャリ<クロスバイク<ロードバイク」。

しかし必ずしもクロスバイクがロードに劣るとは限りません。世の中にはクロスバイクに数十万を投入して高速化をはかる人や、サイクリングロードで必死で踏んで「さっきロードに勝った!」と2chに書き込む人もいます。それはあっていいと思うんです。ミニベロや折り畳み自転車のまま速く走りたい、そういうのもまぁ酔狂かなと思います。それに速い人が乗れば、ノーマルのクロスのままでも私のロードをぶっちぎれるでしょう。ただ、大部分の人にとってはクロスバイクは「とりあえず興味がでてきたから、サクッとスポーツ自転車を味わいたい」というライトなユーザーを対象にしているのは否定できません。そして何事も、対象とする相手に、必要十分な機能を与えることこそが重要なのですから、そんな一般の人に「これはいいものだから」と電動デュラエースのC60とか与えても、迷惑なだけなのです。しかしこここそが曲者なのです。

初心者用の気楽な自転車。だから安かろう、悪かろうでいいだろう。それは違います。初心者だからこそ、用途も決まっていません。「将来的に・・・」の一言をつければ色々な要素が加わってきます。いつかはロングライドしたい。たまには速く走りたい。荷物もときどき載せます。慣れてきたら坂も登るかもしれない。これが厄介です。

足し算のクロス

異論は当然ありましょうが、クロスバイクは「引き算のバイク」。
「街乗りだからそんなに重いギアも軽いギアも要らないだろう」「パンク修理もできない人が多いから少し太めのタイヤで」「前傾姿勢もそこまできついのは要らないな」「坂は登らないから少々重くてもいいな」「奥さんに納得してもらえる金額は値段は5万円くらいまでだよなぁ

こうして「ジャイアントのエスケープr3」が世界一売れる自転車として選ばれ続けてきたわけです。

giant escape r3

しかし、クロスバイクは同時に「足し算のバイク」でもあります。繰り返しますが、ここが厄介です。
「そうはいっても、人と全く同じは嫌だなぁ」「そこまでストイックなのは要らないし、カゴやスタンドも欲しいなぁ」「段差を越えるときにサスがあれば快適なのかなぁ」「クラシックな外見にしたいなぁ」「オシャレな感じにしたいなぁ」「ロングライドも対応したいなぁ」「ロードに勝てるくらい速くなりたいなぁ」「もっと軽量化したいなぁ」こうした、様々な要望を一台に盛り込むことはできません。結果、フラットバーロード的な位置づけのもの、マウンテンバイクよりのもの、中身はスカスカで見た目だけ派手な色の通販自転車などが生まれてきました。これらは全て人々の欲望を具現化した結果生まれたものです。

「クロスバイク」と一言に言っても、そこにはこうした「足し算」の要素と「引き算」の要素がある。これが重要です。

どんどん足していけば、どんどん高額になっていき、結局ロードバイク並みの価格になってしまい、「それ、クロスでやる必要ある?」という状態になってしまいます。でも、お金が捨てるほどある人や、ドロップハンドルが生理的に受け付けない人とか、昔ロードに轢かれた経験があってロードバイクが憎くて仕方ないとかそういう人は、それでも全然構わないわけです。

引き算のクロス

逆にどんどん引いていけば、ついには、見た目だけスポーツ車の形をしているけれど、最低限自転車が守らねばならない「安全性」を犠牲にした自転車になります。特定の企業を非難する気はないですが、某企業の本社に行ってみたところ、どこにも工場なんてなくて、そこにあるのはただの宅配便の集配所のような巨大な倉庫だけでした。別にクロスバイクに限らず、ネットで売りっぱなしでアフターケアのことなど考えてない企業が売ったものは、たとえどんな高いロードであろうとも、ゴミです。諸行無常、盛者必衰と言いますが、普通より相当はやく滅びます。ネットなどで叩かれる会社は全て完全な整備不良の自転車です。メーカーは関係ないです。しっかり整備していなければ、たとえコルナゴ、デローザであっても乗り手と周りの人の命を危険に晒す、ただの凶器です。

そうやって引き算と足し算をやって、ちょうどいい最大公約数を出して、さらにそれを世界中で売り捌く体制を整えられた会社が、結局ジャイアントしかなかったわけで、その意味では、ジャイアントは世界一の自転車メーカーで、エスケープr3は世界一ちょうどいい自転車だということになります。

ジャイアント最高や!それは否定しない。

そういうわけでgiantはまさに最高のメーカーであるわけです。それは間違いのないことです。沢山の人に沢山のちょうどいい自転車を世界のすみずみまで届けるわけですから、文句の言いようがない。「最大多数の最大幸福自転車」。ベンサムも諸手を挙げて認める最高の会社です。

とはいえ、こんな長文の自転車記事を読んでおられる時点でみなさんかなりの変わり者の方々でしょう。長文を読むことが苦痛なかわいそうな人なら、まとめサイトで「escape r3とgios mistral」のコスパ比較!とか「Trek 7.2FXこそ至高のバイク!」とか、「オシャレなあなたはビアンキのカメレオンテ!」とかで選べばいいわけです。そんで各パーツを細かく比較した記事を読んで、「ああそうなのか。つまり○○が最高のバイクなんだな」と自分の選択に安心して身を任せて5万円の使い途に納得して乗りたいわけです。みんなそうです。チャリンコに5万円って大金ですから。

しかし、フロントディレーラーのグレードの違いとか、体感できますか?ハイドロフォーミングのフレームはやっぱり違うなぁと、感じられますか?乗ってて800g軽いなぁ、とか、わかりますか?

私は、わからないですよ。

ただ、「差があるんですよ。お得ですよ。ホントはもっと高いのを割引しておきますよ」という「ワケあり」の「ワケ」を読んで納得したいだけ。ウンチクに乗りたいわけです。

「ああ、これがどこかの文豪が座ったただの石かー」

って納得して座るようなもの。
その文豪が大好きなら意味もありますが、石は石です。他人の価値観に座ってペダルを漕いで、損した得したって、ちょっと違う気がします。

なので断言しておきます。クロスバイクを買うときに、必ず押さえておかなければならない3つのポイント。

クロスバイクを買うときに必要たった3つのポイント。

散々煽って、サクッと言います。

①値段の上限を決める

②不必要な用途を排除する

③見た目で選ぶ

これだけです。これだけしか要らないんです。

ただ、敢えてもう一つ加えるなら

④ 実は悩んでる時間が一番楽しい

ってことですね。だから今日私が長々書いたこんな記事は、その楽しみを100%楽しむために必要不可欠なものなんです。まとめサイトでescapeでキマリ!だったら、コンビニでオニギリ食べるようなものですよ。5万円ですよ?超豪華フランス料理のフルコースや高級料亭の懐石に匹敵する値段です。じっくり味わいましょうよ。言っときますけど、escapeがオニギリだと言ってるんではないです。コスパ最強!escape一択!と決める、決め方がコンビニのオニギリなんです。悩んで悩んでescape。いいじゃないですか。全然逃げてない。攻めてる。「俺は攻めのエスケープ」。うん。来年のgiantの売り文句、コレでどうですか?このキャッチコピーいいですよ。アイディア料5万円ください。

 と、綺麗に決まった(?)ところで、それでは実際にどんなものが候補に挙がってるのか。なんと実はこの話、次回に続くのです!