ひと目でわかる!お寺と神社の違い
中高生を相手に授業をしていて、ときどきびっくりするのが、お寺と神社を混同しているということです。
私がお坊さんだと知ると、「じゃあ、どこの神社に住んでるの?」と聞いてきて、しばし絶句します。
とはいえ、概念的な話をすると「仏」を祀るか、「神」を祀るか、の違いなのですが、「神と仏はどう違うのか」という、今の子が興味を持ちにくい抽象的な話になっていきます。個人的にはこういうことをずっと考えるのは好きなのですが、この場合こういう話をすると、深みにはまる上に、子どもの疑問の解決にはなりません。
我々の世代までなら、ほぼ感覚的に分かろうものですが、しかし「我々の世代」という一括りもできないかなぁと思います。結構いい年の人でも区別できていない場合もあります。「そんなの常識やろ!」という感覚的な理解というのは、事例観察の結果試行錯誤して理解していくもので、鎮守の森で遊んだこともなければ、法事についていくことも少ない、家に仏壇も神棚もない今の10代に、神も仏もないものだと思います。どっちも初詣のときに行くから区別がつかなくなってもおかしくないです。
やはり、お子さんや、そういう区別がつかない人にも、ひと目で分かる外見的差異が一番だなと色々考えてみました。
① 鳥居の有無=○
コレがとりあえず一番分かりやすいですね。基本赤または石の色そのままで目立つし、一番外側にあるので、入る前から「あ!神社だ!」と分かります。
とはいえ厄介なのは、神仏習合という問題がどこまでも残るので、清水寺の中に神社があったりというイレギュラーがどこまでも残るんですよね。
このへんの混同されがちということも、昔は家に神棚も仏壇もあるので、そのへんで家の中でも学べたのですが。
とはいえたとえ同じ敷地内にあったとしても、鳥居のある場所は神社、ということは言えます。
② しめ縄の有無=○
これは分かりやすいですよね。しめ縄ってナニという質問もまたでてくるわけですが、お賽銭のガラガラの縄は上から吊るされてるわけですが、横に貼られている縄がしめ縄ですよね。お正月にみるアレのもっと太いものです。
ちょっと極端すぎますけど、これがしめ縄です。「注連縄」と書きます。
ついでですが、お賽銭のガラガラは「鈴」、または「鈴乃緒(すずのお)」とか言ったりします。ぶら下がってるものは「叶緒(かねのお)」ですね。
③ 鐘の有無=○
コレもかなり有力ですね。鐘はお寺にしかないわけですから。先ほどと同様、神社とお寺が同じ敷地内にあったとしても、鐘があるのはお寺の領域です。
④ お墓の有無=○
これも明快です。神社では死=ケガレですから、絶対にお墓はありません。神式の葬儀というものはありますが、お墓は神社の敷地内に作ることはありえません。お墓がある建物はお寺といっていいかと思います。
⑤ 瓦葺きor茅葺きor銅板=×
屋根の材質で区別するのはダメですね。
一般的に「お寺=瓦、神社=茅葺き・銅板」というイメージもありますが、そうでないところもたくさんあります。これは神仏習合以前の問題です。茅葺きのお寺も銅板のお寺もあります。
http://www.ilaca.net/series/series03au.html
これなんてしめ縄がなければ、年齢にかかわらず、まず「お寺」と判断される外観だと思われます。
⑥ 千木(ちぎ)・鰹木(かつおぎ)がある
屋根で区別するならこれが分かりやすいし、間違いがないですね。
たとえばお相撲のときの屋根はあるがそのまま1つの神社の扱いなのですが、屋根のはしで交差している2本の木が「千木(ちぎ)」、そのあいだに並べられた丸い丸太が「鰹木(かつおぎ)」です。ここで区別したら間違いないですね。土俵というのは「簡易神社」ということになるので、そういう意味では、逆に神社がそなえるべき最低限の特徴をしっかりそなえていて分かりやすいということになりますね。
⑦ 赤いのが神社、茶色のがお寺=×
だいたいこれでも行けるので、限りなく△に近い×ということになります。元はといえば出来たばかりの時はお寺も真っ赤に塗られていたものがほとんどです。神社は建て替えを頻繁に行うものなので必然的に新品状態が維持されますが、お寺はそうではないので茶色くなっていきます。
上は薬師寺ですが、赤いですよね。
ただ、この写真に映る塔がありますが、塔はお寺にしかありません。
「五重または三重の塔がある=お寺」というのは、○ですね。
⑧ お坊さんか、神主さんか=○
これは概念的にはハッキリしてますが、若い人には見た目では微妙かもしれませんね。基本的に髪を剃っているのがお坊さん、関係ないのが神主さんですが、宗派によっては長髪のお坊さんも茶髪のお坊さんもアリです。服装で見分けることも可能ですがときと場合に寄るんですよね。白っぽい服装に袴が神主さん、黒っぽいのがお坊さんと、言いたいところですが、外側の服を脱いだくつろいだ状態だとどちらも白です。お坊さんも袴をはく場合があります。神主さんの場合、小直位という、貴族の普段着的な衣装を着ておられる方が多いです。肖像権などがありますので、ここは敢えて簡略化した例を。
コレひどいな。まぁいいか。実はよくわからないし(笑)わりとすっぽりかぶるような形のもので、着物の襟元はあまり見えない形が神主さん。すごく感覚的にいうと、貴族っぽいのが神主さん。それに対し、お坊さんは正装は左右非対称なことが多いです。普段用の着物だとズバリこうなりますね。
http://blog.fujitv.co.jp/5ji9ji/index.html
ハァ・・・。なんだよこのドラマ・・・。勘弁してくれよ・・・。ナニ宗設定なんだろう。浄土系かな。もうホントこういうドラマ困る。半沢直樹のときもきっと全国の銀行員さんが怒ってたのでしょう。あえて言うなら、着物きてバイクに乗ってる人はかなりの確率でお坊さんですね。アレ、実は関西限定で、東京では見たことがないという驚きの発言を聞いたことがあります。バイクに乗らないで、どうやってるんだろう・・・!?
オチがついたようなつかないような状態で申し訳ありませんが、以上「初心者にもひと目でわかる!お寺と神社の違い」でした。