慈眼寺 副住職ブログ

TPP

長年の懸案であった、TPPがようやく大筋合意に達したようです。
TPPとは環太平洋戦略的経済連携協定のこと。要は太平洋のまわりのみんなで輸入品にかかる関税をなくそうという試みです。
しかしそもそも関税って、いくらくらいかかってるものなのでしょうか。

学校の授業でもいつもお話しているのですが、最も高関税の農作物は何か。
たいていのちょっと鋭い生徒さんは「コメ!」と答えます。コメもかなり高い関税で守られています。しかし、もっとすごい猛者がいます。それは・・・

コンニャクです。

意外ですよね。
そしてその関税率は何%か。

どのくらいだと思いますか?

答えは・・・

 

 

1700%です。

 

1700%って、なかなか聞いたことない数値です。
100円のものに対しては1700円の関税がかかることになりますので、価格が1800円ということになります。
100円が1800円!コレは怖い。サラ金で借りてもなかなかこうはいきません。

先ほどのコメで700~800%、えんどう豆も1000%を超えます。
とはいえ、今回のTPP参加国で直接利害がからみそうなのは農作物ではとりあえずニュージーランドなどの酪農製品ですね。バターの関税が360%ですので、ひょっとすると、バターの価格が3分の1や4分の1に・・・というわけにはなかなかいかないかとは思います。まぁ3割程度安くなるのかなぁなんて思っています。まぁ全然見通しはつかないですが。

民主党が参加を決めたTPP。自民党は農協関係の票が欲しくて、断固拒否的な空気もありましたが、見事に折れましたねぇ。JAのところにものすごくたくさんの「TPP反対!」のノボリがズラッと並んでましたが。まぁココから色々と伏魔殿で相談事が行われて、TPPの内容も骨抜きになって我々のもとに届くのかもしれませんけれども。関税というものは必ずプラスの面とマイナスの面があって、必ずしもなくせば得、というものでもありませんが、経済学的には苦手な品目を無理して守るよりも、それぞれが得意分野に集中投資した方が、結果的にはWIN&WINの関係になる、というのが定説です。

もちろん産業の空洞化という問題もありますが、どうなんでしょうね。私、ときどき思うんですけど、もはや小麦も大豆も、ほとんど国産使ってません。日本食ブーム!なんて言ってますが、味噌も醤油も自国で作れていないわけです。もし他国と戦争になったとき、自国に特定分野の産業基盤がなければ大変!というのがお決まりの文句ですけど、逆に、「産業が空洞化しちゃうと、うかつに戦争できなくなる」っていうプラスの効果、ないですかね?こういう説誰か唱えてないのかな。

生粋の文学部の私が唱える経済理論なので、全く正確性に欠けますが、今日は珍しく、経済のお話をしてみました。