着物マッドマックス(意味不明)
先日は自転車仲間との忘年会があり、平均年齢おそらく45くらいでしょうか、おっさんだらけの集まりに参加してきました。
みなさん職業は様々で、金属加工の技術者の方、工具メーカーの方、お坊さん、ピザ屋さん、国家公務員の方など、幅広いおじさんが集まって楽しくやりました。
私は、正月に着る着物をちょっとここで着ておく目的と、今日のメンバーにいる着物屋さんに着物の着方とかおかしいところを教えてもらおうと思いまして、着物と羽織に下駄を履いて出かけました。
実はこの着物、今は亡き先代住職、というか、私のおじいちゃんが着ていたものを直したものです。おじいちゃんは明治生まれの着道楽。洋服は一切持っておりませんで、いつも着物。作務衣さえ着ませんでした。まぁつまりは仕事をしないでキレイにしてたということになるのですが(笑)。そういえばパンツも最後の入院までははいていなかったはず。生涯ふんどしでした。元気な頃、といっても92歳くらいまで白い着物にカンカン帽にべっ甲メガネで杖をついてそこらじゅう歩き回っていました。
そんなおじいちゃんが亡くなると大量の着物が残ったわけですが、使えるものはさすがにわずか。しかも身長が160~165cmなので、私にはサイズが合いません。せっかくのどう見ても高い生地がもったいないなぁと思っていると、母が知らぬ間に直しに出してくれていて、羽織までついた着物が出来上がりました。正月だけはちょっと和装な気分になりまして、よくコレを着ています。
「最近太った」と絶賛巨大化中の副住職ですが、40歳を越えたからこそようやく着物がそこそこ着られるようになってきた気がします。ちょっと出てきたお腹の下にちょっと隠れ気味の帯!コレ!悪く言えば中年体型!よく言えば「恰幅が良くなってきた」!コレ!
忘年会会場に行くと、着物屋さんは目ざとく第一声「お!ええ大島やないですか!」さすがッス!カバーに大島って書いてたッス!
その日の私はユニクロのヒートテックと黒いタートルネックセーターを重ねた上にさらに着物&羽織さらにはマフラー。寒さ対策完璧。
「ええもんスよ~この大島は~!かなりええ自転車買えますよコレ~!NEVIのチタン買えますよ~」
さすがに自転車好きの着物屋さんです。もはや一般人には何を何にたとえてるのかさっぱり分かりません。
ただし、自分でも気になっていた羽織の襟を裏返すと、少し裏地の白いのが見えてしまう点は
「ああ、コレ、仕立てがちょっとアレですね。言うてくれはったら直しますよ!」
とのこと!おおおおお!
「あと・・・おじいさん、ちょっと小さい方ですよね?ちょっと裄丈短いなぁ・・・」
お!バレてた!さすがに10センチ差があると直しても限界が・・・。でも今流行りのアンティーク着物の女子とか、やっぱりサイズなくて困ってるらしいし、許容範囲っしょ!おじいちゃんのやし。
「そうですよ。それはせっかくのおじいちゃんのですから、着てあげた方が!」
やっぱりねー。
「ただ・・・」
「?」
「あのー、今日、ずっと気になってたんですけど・・・、その、下に吐いてるタイツですか?えっとあの・・・迷彩の・・・」
「はい?」
「それはちょっと・・・」
「え?寒いし!」
「いや、だから迷彩はさすがに・・・」
「え!コレ、昔ユニクロで安かったんですよ!この柄だけ安くて!どうせ見えないし!」
「いや・・・だから見えてるし・・・」
「なんていうんスか?全部着物で気張ってたらなんかやりすぎ感あるから、なんていうのかな?ハズし?敢えての脱力?ああ!あの、アンティーク着物の女の子がレースとかで着崩すじゃないですか!アレ!アレみたいな!」
「うーーーーーーーーん、さすがにこんなええ大島着て、おっさんが迷彩柄はちょっと・・・」
「えーーー、もっと着物を気軽に自由に着てください!的な売り言葉してるやーん!」
「いや、だからあの、あなたは着物の世界の人でしょ?(笑)っていうかコレ、面白いから写真撮っていいですか?仕事仲間に”こんなええ大島にカモフラ柄のタイツはいてる人いた”って見せたい!」
こういうやりとりで撮影した写真が上のものです。
副住職の着こなしに、業界も騒然!
魅惑の陸自風カモフラがチラリと覗けるのは、JIGENJIだけ!
P.S.昔、心理カウンセラーさんに戯れに箱庭療法で診断してもらったところ、ひとしきり大笑いされた経験があります。
「教科書に載せたいほどの、近頃稀に見るオイディプス・コンプレックス症状の見本」と言われました(涙)