We’re non-ferrous metals!
オッス!オラ、非鉄金属!
さてさて、意味不明なあいさつではじまりました。今日は完全自転車フレーム&パーツネタ。
失敗談も綺麗な景色も全然ないので、自転車興味ない人は完全置いてけぼりの内容なので、好きな人だけ読んでくださいね~。
天気のいい日の午後、2時間だけ時間がもらえて、自転車に乗れました。
そうそう、遅れに遅れたパーツどもが海を越えてやってきまして、ようやく私の愛車にハマりました。
ちょっとスッキリしてませんか?そうでもない?ちなみに変更前と並べてみます。
こんな感じで締めるトコ締めて、ちょっと精悍になった気がしません?
悩んだ挙句、パーツはトムソンで統一しました。
各パーツをさらに細かく解説。
シートポストはこのようにセットバックしています。塗装してない金属カラーの方がより単体ではカッコいいですが、今回は黒で。
ステムも同じです。X2ステム。
こんな金属の塊見せられても困るかと思いますが、
こうやって金属そのままの色だと、この技術の高さ、わかりません?
僕も最初なんとも思わなかったんですが、触ってると、ずっと触っていたくなるんですよ。ホント不思議!気が付けばずっとステム触ってる。ド変態ですよ。でも、みんな触ればわかる。普通の人でもなんとなく触ってしまう。
そしてよくよく見るとこの接合部の精度とか、無闇に綺麗な面と、わざと筋の模様つけてる胴体部とか、工業製品としての魅力をふりまきまくり。
なんとこのステム。アルミの塊からの削り出しで作られているというから驚き。
で、ハンドルもトムソンで揃えました。ここだけカーボンです。
基本的にトムソンの製品は全部軽い!そして剛性もバッチリ!
ステムやシートポストは剛性が必要な部分なので、カーボン製品でも結局たいして軽くならないんですよ。パーツカタログ見ても、どこでもそう。たいして重量が変わらない、どころか、下手したらカーボンの方が重いやつもある。結局厚めに作らなきゃならないんでしょうなぁ。そもそもこの自転車はカーボンフォークなので、路面衝撃はだいぶいなしてるはずなんです。
で、ハンドルだけは結構衝撃が変わってきますのでカーボンに。でも、カーボンカーボンしたデザインだとフレームに合わない?と思ったので、トムソンのこのアルミっぽい見た目のものに。コレ、すごい軽いのに安い。C社とかよりだいぶ安い。そして実際に握ったら剛性感は十分です。C社のものよりずっと。ホントにカーボンなのかな?騙されてんのかな?(笑)
さて、ニューパーツでご機嫌でサイクリングロードを走り、いつもの某自転車屋Rに着き、駐車しますと・・・
こんな状態に。なんなんでしょう。このねずみ色だらけの地味な絵。この炭素全盛の時代にレアだけど、厳密にはレアではないメタル揃いです。
そんななか、ひときわ輝く一台に注目。
ラレー CRSです。http://www.raleigh.jp/bikes2016/4578.html
いや、ラレーがステンレス出すって聞いたとき、マジかよ!ってビックリして、フレームが店に来てから自分のでもないのにパシパシ写真撮ってたんです。
でも、組まれた姿を見ると、また違った印象ですねぇ~。
やはり細身のホリゾンタルは美しい。くすんでる太目のスローピングと並べるとやはり差は歴然。まぁ、自転車はそれだけじゃあないんですけど。
しかしシンプルな美しさはありますよね。やっぱり。
このステンレスという素材、イメージとしては台所用品なんだけど、ロードバイクのパイプとしては面白い素材です。
そもそもステンレス=stainless=「錆びない」という意味ですが、ステンレスは必ずしも錆びない金属ではありません。
ステンレスは鉄ベースの合金で、大きく分けて3つに分類されるそうです。
①マルテンサイト系
SUS410=Cr(13%) + Fe (87%)
②フェライト系
SUS430=Cr(18%) + Fe (82%)
③オーステナイト系
SUS304=Cr(18%) + Ni(8%)+ Fe(74%)
③だけが磁石にくっつきません。①と②はつきます。
基本的に自転車に使われるのは①と②が多いようです。チネリのXCrも磁石につくようです。
で、ステンレスが錆びない、というのは嘘で、やっぱり錆びます。
ただ、含有されるCrがFeより遥かに容易に結合して酸化被膜を作ります。この膜は「不動態皮膜」と呼ばれる透明で極薄(100万分の3ミリ!)な膜で、あっという間に出来上がってしかも緻密で安定的。なんらかの原因で破壊されても酸素と結合すればすぐ再生!というすごい膜なのです。
以上の特性は、そのままチタンにも当てはまる性質ですが、ステンレスの不動態皮膜は塩化物イオンにだけは弱い。チタンはこの塩化物イオンに対しても強い耐性を持ちます。そういうわけで、ステンレスもチタンもどっちも「錆びない」のではなく、化学的には「既に安定的に錆びている」というのが正しい表現になるのでしょうか。まぁ生活レベルではどちらも「錆びにくい」または「錆びない」でいいかと思います。仮にステンレスが錆びても表面だけの話ですし。
で、このラレーCRS。
乗り味は乗ってないので分かりませんが、今までのステンレス試乗歴から考えると、硬いのは間違いないでしょうねぇ。
金属好きとしては、触ったときの質感に若干の不満があります。あの「ひやっ」として体温を奪っていく金属特有の質感がイマイチ。これはステンレスというより、表面のクリアコートのせいだと思われます。最初はラレーの文字がシールなので、剥がれないようにクリアーで保護してるのかな、余計なことするな!と思っていたのですが、店長によると「錆び防止なのかも」とのこと。まぁ先ほど言ったようによっぽどのことでもない限り錆びないですけど。
フロントフォークは堅実にカーボンですので、路面の振動吸収はバッチリ。ここまで金属にしたがるこだわり派とかときどきいますけど、ちょっとそのへんは共感できませんねぇ。適材適所でしょう。2番金本はちょっと。
正面のヘッドパッチも凝ってて素敵。RAREIGHの文字が控えめなのもまたよし。インテグラルヘッドもカッコいいです。
反応も当然良いでしょうし、バリバリのレース向け、しかし重量は重め。
なぜか用意されたダブルレバーの台座も含め、ターゲットを絞りきれてないというか、ただの金属好き狙いと言いますか・・・。
まぁこの無駄に頑張ってる感と無駄にクラッシックな感じ。そしてとことんの方向に踏み出せない妙な庶民感。これこそがラレーなのだと思ったり。
ライバルはミュラージャパンあたりかなと思いますが、値段はこちらがずっと安め。あっちはフォークまでチタンやステンレスで「金属原理主義」といっていい仕上がりですが、乗って楽しいのはこっちかなぁと、乗ってもないのに思ったり。
ながながと金属の話ばかりしましたが、面白い自転車が見られて楽しかったです。