奈良はYDM⑰ 奈良に突然「英国地帯」出現
さて、いよいよ新学期スタート。
教科書の範囲は毎年教えているのですが、自分もブラッシュアップしたいなと、休み中に図書館に籠って半日プラトンを読み返したりしておりました。久しぶりに読むとまた発見がありますね。まぁほぼ授業では使えないネタばかりなのですが(笑)
これはその日の図書館の駐輪場。ここにもピストバイクの影が・・・。
図書館で勉強しているような層にまで自転車ブームの波が波及しているのを感じます。しかも奈良ですよ。ビックリ。
さて、半日勉強してちょっと疲れたので、帰りにかねてから気になっていた「あるエリア」に向かいました。
そこは、奈良の東城戸町。
このあたりはいわゆる奈良の観光スポット、東大寺・興福寺付近でもなく、かといって奈良町からもだいぶ離れた細い路地。
昔ながらの質屋さんとか市場とか、そういうお店しかなかったところだったのですが、最近このあたりが俄かに「英国趣味満開になっている」との噂を聞きつけ、不肖副住職がスパイとして潜入してまいりました。「死ぬな。殺すな。とらわれるな。」でありますッ!
つきました。Brighton Tea Roomさんです。
オシャレ空間であります。
ちょっとちょっと!ここは奈良ですよ!しかもやすらぎの道のローソンからちょっと入ったところ。そんなバカな。(ちなみにお客さんの顔にはバッチリモザイクをかけてあります。)
しかし結構な盛況ぶりです。ビルの二階なのですが、階段を上がっているとき、「上はパーティやってんの?」というくらい女性の声で賑わっておりました。いくつかのメニューは売り切れ。ウバの紅茶とケーキを頼みました。暖かい日に自転車で来ましたので、アイス。
うむ!中年男性がオーダーしたとは思えない!
サイズが分かるように、さりげなく、自分の眼鏡を置いてみました。
オシャレであります。居心地がいいのであります。
私が若い女子で、恋の悩みでもあれば、ここで紅茶を飲みながら長話したいところ。だが現実は中年僧侶なのでありますが。
お客さんも女性が圧倒的。少し外国の方もおられました。お店の方は英語が流暢でしたので、外国人の方も安心であります。
私にとって英国とは、幼き日には「ナルニア国ものがたり」の世界。「ターキッシュディライト」があれば、是非頼んで、噂の違和感を思いっきり味わいたかったのですが、それはナシ。昔は憧れたものですが、歴史で勉強して「コイツら外交汚ねぇ!」としか思えない時期を経て、「別に行きたくはないなぁ」くらいの温度に落ち着いていたのですが、最近自転車に乗るようになり、ツイードランなんかを見て「いいなぁ」なんて思ったりして、ちょっと英国趣味も復活して参りました。
そんなわけで、紅茶の香りでイゼルローンも攻略するくらいに気分が高まったところで、カフェの階下に下ります。すると・・・
ななな、なんだこのオシャレ空間はッ!1Fも2Fも!いいかげんにしろ!ここは東城戸町だぞ!
英国モッズファッションのお店、Jump The Gunさんであります。
いいですね。このドア。わざわざこのドアだけイギリスで見つけてらっしゃったそうです。このドアから逆算してお店を開いたのではないかというくらいしっくりきてますよね!
ドアを開けると所狭しと並ぶビートルズやオースティンパワーズ感満載の世界。
ピンバッジやモッズと言えばの空軍マークなど、「うわぁ!すごいそれっぽい!」としか私などには言えない世界ですが、好きな人にはもうたまらん世界だと察します。
フレッドペリーのポロなんかもたくさんありました。
raphaもビックリなほど、ユニオンジャックを前面に出しております。
私なんかはもう、モッズ=「ビートルズみたいなマッシュルームヘアの人」というイメージしかない貧困な人間で、最近だと、「ああ、ウィギンスみたいなモミアゲのガリガリなやつね」という知識が増えた程度。ジャケットのVゾーンはひたすら狭く、ほっそいズボンに尖がった靴、みたいなイメージであります。
で、いつも音楽を聴いていて、無口な店長が不愛想に出迎えるのであろうとビクビクしておりましたら・・・店長さん超気さく!たしかに見た目は「おおお!モッズのイデア!」みたいな恰好なんですが、それに嫌みがない。「俺、モッズ大好きッス!」という愛が溢れた陽気な店長がめっちゃ話しかけてくれます。服を買え買えと押し売りするでもなく、「ソレ、俺も持ってますけど、最高ッスよ」と服屋でよくあるけど意味不明なアピールをしてくることもなく、本当に店の商品を好きで、着てほしいという愛情が溢れていました。あと、ここは大事な点だと思うのですが、そんなに店長細くない!というか、普通のややぽっちゃり!年齢的には同年代かちょっと下かなと思うのですが、ガリガリの細いにーちゃんではないのにバッチリ着こなしているのは普通の人にはありがたいですよね。特にモッズが好きというわけでもない私でも、「また来たいな」と思わせるよいお店でした。
何事もそうだと思うんですけど、万人受けするお店も大事ですが、こういう「とにかく好きで好きで仕方ないからお店を開いた」っていうお店って、尖がりまくってるけど、それが好きな人にとってはもう夢のような場所だと思うんですね。もう聖地ですよね。で、そういう人たちが本当に楽しそうにしてたら、一般の人にもそのよさが伝わってくるんですよね。自分がいつもテーマみたいにしている「特殊を追求すれば普遍になる」っていう感覚に、フィットする感じがすごくします。ここは良いお店ですね。
個人的な意見を言えば、ツイードラン盛り上がってるし、もうちょっとカントリー風味のアイテムもあれば、お店の経営にも貢献できるのですが、ここのスタイルというのもありますし、フレペ×ウィギンスのコラボものあたりで手を打ってもらっても全然OKです。
そんなわけで、かつては身長172、体重54キロくらいの体型を長く維持していたのに、今はもう、太ももが一本55㎝のやたら下半身がゴツイ中年になってしまい、「もう、服とかええねん。作務衣とジャージでええねん。」と開き直っている自分を、もう一度見つめなおす気分にさせてくれた、東城戸経由の英国旅行でありました。お粗末!