cinelli新ジャージを発売
あ、今日は需要の少なすぎる自転車好きのなかでもさらにニッチな1%くらいの人にだけ響く内容です。
cinelliという自転車メーカーがありまして、正直、人によって毀誉褒貶のそこそこ落差のあるメーカーです。
かつては「ロードレーサーの教科書」とまで言われたスーパーコルサや、エアロコンセプトの先駆的存在レーザーなどの名車があり、御三家とまで言われた老舗メーカーでした。
現在はコロンバスという巨大なパイプメーカーのグループに入り、「チネリ」の屋号だけを残して実態は別会社になっています。
ところがこのコロンバスのアントニオ・コロンボがチネリのオーナーになってから、ちょっとぶっ飛んだアートなデザインをフレームというキャンバスにぶち込むようになり、大手の堅実なフレームに遊び心のあるデザインを施すというメーカーになっています。フレームを他のメーカーに外注して自分のところのシールだけを張り付けるという今ではどこでもやっている商法を、よそよりかなり早くはじめた近代的な会社とも言えます。
ツールに機材提供など一切していないため、「レース機材としてはもう終わった」などと揶揄している人もおられますが、まぁそもそもレースに出るわけでもない我々のような大部分の一般人にとっては、「乗る時間」より何倍も「眺める時間」のほうが長いのわけで。だからといって床の間バイクで性能が終わってるひどいフレームかといえば、大手のメーカーの安心のクオリティーですのである意味間違いはありません。おまけにチューブメーカーですので、コロンバススピリットやステンレスのXCRなど、名品チューブを使ったフレームを安く売れます。
色々書きましたが、チネリの自転車を見るととにかく心が躍る気がしました。チネリだろうとジオスだろうとコルナゴだろうとTIMEだろうと、大事なのはそこだけなんじゃないかなと思ったりもします。
そのあたり、大阪長居の自転車屋さん、アウグーリオさんが非常に端的に語ってくれてらっしゃっています。
http://bpaugurio.blog115.fc2.com/blog-entry-44.html
大学の近くなもので何度かお邪魔したんですが、店内が自転車屋に一番似つかわしくないオタク系フィギュアに囲まれていたりして、私の趣味にドンピシャのいいお店です。店長さんも話しやすくてざっくばらんでいい人です。はじめて入店したときに「バオー来訪者」のフィギュアを見つけて叫んでしまいましたが、「バオーに即座に反応するアナタ、ただ者じゃないですね」と言われたのをよく覚えています。
ところで個人的に今までチネリで一番カッコいい!と思ったのが、このフレーム。
cinelliのTTバイク WYSIWIGです。
WYSIWIGとはPC用語でもあるWhat you see is what you getの略。直訳で「見た通りのものを得る」要は「見たまんま」ということです。
フレームの三角をじーっと眺めると・・・真ん中にチネリの「C」が浮かび上がるという遊び心満開のフレームです。
めちゃくちゃほしいと思ったんですが、あまりに使い勝手が悪いTTバイクというジャンルに怖気づき、買えませんでした。
で、このチネリ。ツールには提供していませんが、トライアスロンのオリンピック選手や、セミプロみたいな団体には機材提供をしておりまして、またまたそこでポップなジャージが売られたりして商売上手。
cinelli Glassn’Goやteam cinelli Santiniなどでフレームとバッチリ合わせたジャージを作り、さらに近年にはピストバイクのチームcinelli chromeのジャージがまた気が狂ったようにポップでした。
t
eam cinelli chrome.comより
ちょっとここ近年で見たサイクルジャージで一番カッコいいんじゃないのと思ったんですが、毎年マイナーチェンジをしていて、上の2015のものが一番よかった。で、今年2016のものがなかなか発表されないな・・・ともじもじしておりましたら!
でました!
http://www.wingedstore.com/team-cinelli-chrome/2015-team-cinelli-chrome-jersey-530.html
うううーん、そうきたかあ。
ちょっと変えてきた。変えてきたけど・・・個人的にはそっちじゃない気がするんだよなぁ。なんだろうなぁ。ちょっとなぁ。まぁこれが一番好き!という人も当然おられると思います。人の好みって千差万別ですからねー。
さらに個人的な感想を言うと、チネリは自転車メーカーであると同時にパーツメーカーでもあります。
最近そのパーツのラインナップが徐々に減ってきて、名作パーツが廃盤になったり、色展開が減ったり、ちょっとさびしい状況です。
ただの一ファンだから言えることですが、カーボンフレームももう長いこと完全な新型フレームというのはほとんど出しておらず、毎年カラーリングを変えるだけ。ちょっとチネリファンとしてもここ最近のチネリの力の抜きぶりはちょっとなぁ・・・と悲しい気分も否めません。やはり名作エストラーダを廃盤にしたあたりから軸足をカーボンロードからストリート系とシクロクロスに移し、依然としてXCRを残しながら今年またNEMO TIGを出すあたり、コロンバスグルッポとの関係を前面に押し出した金属フレームのほうに活路を見出しているのか・・・。
でも毎年気になるチネリさま、でした。