慈眼寺 副住職ブログ

欧州情勢は複雑怪奇

今日は驚きました。
UKが国民投票でEU離脱を決めました。

ドイツ統一やソ連崩壊のときも「まさか」と思ってましたが、あっけなく雪崩が起こるように世界は動きました。
戦後70年、なんやかやと分断もありながら、色々なことが少しずつ「融和」を目指して進んでいた世界が、このところ急激にその空気を変えた気がします。「理性」への信仰が次第に崩壊している。むしろ、とっくの昔に崩れていたことが、ハッキリと露わになっているだけかもしれません。

理性への信仰とは、つまりは普遍性への信仰。

しかし世界はどこまでも内向きに、また小さな世界へ回帰しはじめている気がします。

世界はウェブで遍くアクセスできるのに、一人一人の世界はどこまでも断絶して、小さくなっていく。

同じにしようという行為が、ますます差異を生産していく。

その結果、過去の亡霊のようにブロック経済や為替戦争、民族主義やローカリズムが復活している気がします。

誰もが先行きを読めない社会になってきました。
今日が世界の歴史の、大きな転換点になるかもしれません。

もちろん、海外通販で自転車部品安く買えるかも!なんていうお気楽な私も確実にいるのですが、こうした空気さえも、今世界をかき回す「大衆の反逆」とでも言うべき、得体のしれないグロテスクで、エモーショナルな動きを作り出す要因になっているのかもしれません。

欧州情勢は複雑怪奇。

人類史上未曽有の実験と言われたEUという存在の、根幹を揺るがす事態であるような気がします。

哲学史的に見れば、理性に対する英国と大陸の信頼度の差が、そのまま出ていると言えなくもないかもしれない。
とりあえず私にできることは見てるだけです。不謹慎ですが実に興味深い歴史の渦の現場に今私たちはいる気がします。実に実に興味深い。