東洋一の兵どもが、夢のあと
かつて「東洋一」と言われた遊園地が、今や廃墟となっております。
先日近くを通りますと、なにやらトラックなどが入り、取り壊しの準備が始まった様子。
いよいよ、奈良ドリームランドの夢のあとも、跡形もなく無くなってしまうのでしょうか。
今日は現時点の木製ジェットコースター付近で写真撮影をしてきました。
正直、この木製ジェットコースター自体に思い入れはほとんどなく、乗ったこともありません。
とは言え、このジェットコースターは、廃墟になってからは、前を通ってフェンス越しに眺められる数少ない「痕跡」。もはや「廃墟」の記憶の方が長くなりつつある私にとっては、ある意味でここの象徴になりつつあります。しかしいつまで経っても遠目には崩れる様子もなく、当時は「木製なんてコワイ!」などと言われていましたが、逆説的に「安全だったんだな」と感心したりします。
以前言ったかもしれませんが、小学校3年か4年のころに当時としては巨大なプールができて、付近の小学生が無料で招待されたときのことは、まさに夢のように覚えております。正直ほかの遊具は、当時としても相当時代遅れ。ひと昔前感が30年くらい前でもすでに出ており、レストランがすごくおいしくなかったことくらいしか記憶にない。それでもやはり、中学でプールに来て、自転車を盗まれたり、その恨みを作文にぶつけたら、妙に評価されてしまって全校生徒の前で読まされたりした思い出があったり、大人になってからも何度か泳ぎに来たり、思い出のある場所です。夏場はいつもプール客で大渋滞でした。お盆には花火をあげてくれました。
そこから先は、ただの廃墟の思い出。
でも、どこから眺めても、ここの頂上付近に雪が積もっている(そういう絵が書いてある)大きな山は、目に入ります。もはや、若草山&大仏殿の次くらいに、奈良市っぽい風景かもしれません。
もったいないとか、さみしいかとか、悲しいとか、そういう感情はないのですが。
ただなんとなく、喪失感のような、郷愁のような、寂莫とした感じが、します。
「祭りが終わったのだな」
というよりも、
「祭りの跡がなくなるのだな」
という、虚無へ向かう言い知れぬ、恐怖に似た何かの匂いを少し漂わせながら、
「それ」が徐々に無くなっていきます。