精華~京田辺 国宝パワースポット巡り
http://latlonglab.yahoo.co.jp/route/watch?id=638c7b9c450503be44a740265caa08a1
こんなルートで気楽に自転車でまわるルートを考えてみました。
サイクリングロードはルートラボが引けないので、そのへんはご愛嬌。
このあたり、木津・山城・井手町あたりを含めると、非常に歴史ロマン溢れるエリアになるのですが、これらを全部まわって参拝するとなると大変。なのでクロスバイクでまわれる程度のコンパクトなルートを考えました。特に祝園あたりは一本入ると道がすごく狭いので、圧倒的に自転車の方が有利であります。自転車で回ることに意味があるルートになりますね。
<スタート>
祝園駅東口をスタート地点に設定しています。
①精華町 常念寺
祝園駅からわずか1km弱のところに常念寺というお寺があります。
祝園駅東口からまっすぐ東へ向かい、どんつきを左折。そのまま北上しますと、こんな看板とチェリオの自販機がありますので、この看板のところを右折。
すると細い路地があり、左手にお寺が見えますが、これは常念寺ではなく、照光寺なので注意であります。他にも西方寺というお寺もあります。お寺密集地です。
照光寺の先の細い路地を右に曲がりますと、常念寺があります。
この日はたまたま正傳法の日でしたので、参拝はしておりません。
こちらには国の重要文化財に指定されている平安前期の「菩薩形立像」があります。不思議な名前です。十一面観音でも観音菩薩でもなく、菩薩”形”の立像です。要はこの仏さまが何の観音菩薩さまなのか、よくわからない。
http://www.town.seika.kyoto.jp/contents_detail.php?frmId=5249
精華町のHPを見ればよくわかるのですが、神道と仏教の両方の特徴がある。神仏習合の信仰をあらわす仏像として非常に珍しい。国指定の重文ということは、以前は「国宝」と呼ばれていた、いわゆる「旧国宝」にあたります。ただ、そんな分類を越えて、非常に魅力ある仏さまだと言えます。事前連絡の上参拝可能ですので、突然行かれることのないようお願いします。
②祝園神社と武埴安彦破斬旧跡
照光寺から常念寺へと曲がった道に戻り、そのまま川の方へ進むと広い通りにでます。そこを左折してそのまま北上しますすると、右手の空き地にこんな石柱があります。
「武埴安彦破斬旧跡」です。ここから北上しますと、すぐ「祝園神社」というところにあります。
この「武埴安彦」こそが、「祝園」という地名の由来になった人物であります。
「武埴安彦」は第8代孝元天皇の皇子です。第8代っていったら記紀の時代。祝園という名前は日本書紀の故事に由来する由緒正しい名前、が転じてできたものなのです。すごいですね。ちなみに第8代孝元の妹が倭迹迹日百襲姫命といって桜井の箸墓古墳に眠られている方なのですが、ひょっとしてこの倭迹迹日百襲姫命が卑弥呼なのでは?と言われているので、卑弥呼の兄貴!・・・かもしれないのが孝元天皇なわけです。まぁこのへんの天皇は全員実在があやしい、というかだいぶフィクショナルだと考えて間違いないですが。
で、武埴安彦はこの孝元の息子ながら天皇になれず、第10代崇神天皇に反乱を企てます。この崇神さんあたりから実在が確認されています。で、この反乱がうまくいかず、武埴安彦とそれに従った者たちは、ことごとくは惨殺されます。
ちなみに、この祝園神社では武埴安彦の霊を鎮め、豊作を祈る「いごもり祭り」の神事を行っています。氏子が青竹を引き合って吉凶を占う祭ですが、その際3日間氏子が一切音を立てないよう生活するなど奇祭と呼んでいい様相で、京都府の無形文化財に指定されています。実は木津川を挟んで対岸の木津川市の湧出宮でも同様の神事が行われており、斬首された武埴安彦の首が湧出宮まで飛び、胴体が祝園神社で葬られたという伝説もあります。
「武埴安彦破斬旧跡」から数百メートル北上すると、いよいよ祝園神社。
祝園神社は木津川サイクリングロードに隣接する、自転車乗りにとっては近すぎてそんなとこ知らない!というスポット。実際立ち寄ると、それほど広いというわけでもないのに、独特の雰囲気と、急に聞こえてくる鳥の声などの生命感がなんだかすごいです。是非サイクリング途中に立ち寄ってみることをオススメします。
話を「ほうその」に戻します。
「日本書紀」崇神天皇一〇年九月の条に、
「武埴安彦、先づ彦国茸を射るに、中つること得ず。後に彦国茸、埴安彦を射つ。胸に中てて殺しつ。其の軍衆脅えて退ぐ。則ち追ひて河の北に破りつ。而して首を斬ること半に過ぎたり。屍骨多に溢れたり。故、其の処を号けて、羽振(はふり)苑と曰ふ。 」
とあります。「祝園=ほうその」は「はふりその」であったわけです。またこの木津川サイクリングロード沿いの地域の地名は「柞ノ森」=「ははその森」といいます。おそらく「はふりその」から転じて「はふその」→「ははその」、それが「ほうその」になったものと思われます。
また「祝部」という難読名字がありますが、これは「ほうり」さんとか「しゅくべ」さんと読みまして、「罪穢れ」を「放(はふ)る」、または「祓(はら)ふ」仕事。神主・禰宜に次ぐ神職という位置づけになります。祓う前に神を憑依させるための舞いを踊るようで、ここから「羽振る」=「羽振苑」の繋がりも見えます。ようするに「祝部」が住んでいた場所だから「祝園」とも言えるわけです。
日本語というのは本来漢字のない音だけの世界ですから、「はふる」の音に様々な漢字の意味が重層的に関わっていきます。「祝」「放」「祓」「羽振」、そして「屠」もそうです。穢れを払うためには生贄が必要です。古代の神職はその際の屠殺も行いました。穢れと清め、ハレとケは常に表裏一体であります。ゆえに反乱鎮圧のあと、屍が溢れた場所、つまり「屠り」が行われた場所で、「祝部」が「羽振」り、穢れを払った場所を「はふり苑」と呼ぶのは、まことに何重もの意味が加わっています。そして穢れが払われ、凶は吉に転じ、「はふその」は「祝園」となったわけです。
平成17年度には人口増加率全国1位になり、鉄道交通の要所となった祝園の栄華は、こうして築かれたのかも、しれません。
かように「祝園」は、山を切り開いて「桜が丘」みたいなゼネコンが適当に考えた地名とは一味違う、古代ロマン溢れる地名なのであります。
③壽宝寺
祝園神社からは木津川サイクリングロードがもう見えてますので、そのまま開橋からCRに合流。逆に開橋手前から眺めますと、こんな風に祝園神社の鳥居が見えています。
開橋手前の、CRが二手に分かれるところを川側に下りずにそのまま行くとこういう風に見えます。本当にCRから目と鼻の先なんですね。灯台下暗しであります。
CGに復帰し、そのまま北上して玉水橋で左折し、三山木駅に向かってまっすぐ行くと、壽宝寺があります。
こちらについては以前当ブログでも紹介しておりますので、そのまま引用します。
とにかく「リアル千本ある千手観音」が壮観であります。ここは一見の価値あり!圧倒されて疲れたら、コメダ珈琲もすぐ!シロノワールに癒されましょう。
④法泉寺 十三重石塔
壽宝寺のある角の信号を右折し、そのまま北上します。目印は精米屋さん。
この精米屋さんのところを左折しますと、もう法泉寺が見えます。
ちょうど草内小学校の北隣になりますね。
こちらには国重文十三重石塔があります。1278年(弘安元年)の作。弘安といえば二度目の元寇を「弘安の役」といいますが、あれの直前になります。石塔マニアという人は一定数いまして、どんな山奥でも探しにいきます。こんなに町中などガッカリするかもしれません。逆に言えば気軽に町中でこんな立派な石塔が見られるチャンスはそんなにありません。マニアの人以外なら、仏像よりサクッと見られますのでオススメ。
さすがに13重もあると壮観。
ここからは色々なルートがありますが、いったん北上して大きな307号に乗りましょう。307号を西に向かい、そのまま京田辺駅も過ぎて、さらに西へ向かうと山手幹線に突き当たります。ここを右折してずっと北上すると、一休寺の看板が見えてきます。
⑤一休寺(酬恩庵)
ここは言わずと知れた京田辺の超有名スポット。こここないでどうするの?という場所であります。秋の紅葉の名所でも有名。閑寂な空間で思う存分日本の「美」を楽しめます。京都市内の有名スポットより気軽に来れるのもいいところです。
ちなみにこの付近に「一休とんちロード」という電信柱にとんちを張り付けたロードがあります。うん、まぁ、いいんじゃない。
一休寺から山手幹線に戻って今度は南下。ひたすら南下。軽いアップダウンがいくつかあって、同志社女子や同志社を過ぎてさらに南下。同志社南という交差点を右折し、そのまま西へ向かいます。
途中、多々良という場所を通りますが、ここに個人的多々良名物、通称「ベッカム荘」があります。
なんでベッカムなのか、よくわかりません。
とりあえずこの謎のベッカム荘を越えてまっすぐ行きますと、右手にデカデカと「国宝 観音寺」の看板。
⑥ 大御堂 観音寺
これまた先ほどの山城観音めぐりライドでも出てきました。こちらはリアル国宝!白鳳仏の十一面観音さまです。えらいもんがあるもんです。桜井の聖林寺の十一面観音と並び称される大傑作。お邪魔した時のご住職のご対応も気さくで丁寧で本当によいお寺。そして本当に素晴らしい仏さま。その滑らかな曲線美はミロのビーナスのようでもあります。ただただ美しい。20キロのライドの最後を締めくくるにふさわしい仏さまであります。
20キロの道のりですが、拝観する時間などを考えると午後まるごとは使っちゃうのではないでしょうか。もっとかかるかも。昼前からゆっくりまわるのもいいかもしれません。
観音寺近くには、自転車でも立ち寄りやすい「普賢寺ふれあいの駅」「舞妓の茶本舗本店」「ちきんはうす」があり、三山木駅近くには「塩元帥」もあります。
まぁ、こんな感じで、ロード乗りには近すぎて物足りないので、坂が好きなら、打田の峠とかくろんど池とか、登ったらいいでしょう。もっというなら、朱智神社という激坂の先にあるパワースポットもあります。物好きな方はドーゾ。