自転車屋さんについて、色々考えた日。
まず最初に!本日、私の留守中に慈眼寺にローディさんが「ブログ見てます」と言って訪れて下さったそうです。
ありがとうございます!
いやーリアルに反応があると嬉しいですねぇ。いるんですねぇ。読者。僕は自分が水槽の中に浮いて電極つけられてる脳なのかなって思ってたので、こういう反応があるとビックリします。それも含めて電極が見せる夢かもしれませんが、夢にしたっていい夢です。
残念ながら、私は本日、指導先のバドミントン部のクラブに出かけており、お留守番の住職が対応してくれたみたいですが、私がいたら自転車トークできたのになぁ!どんな自転車なのかなぁ?男性二人、女性一人とのこと!リア充ローディじゃないですか!どこかでまたお会いしましょう!
そして今日も自転車繋がり。
先日、用事のついでにふらっと気になっていた場所に足を運びました。
あの!奈良、登美ヶ丘のオシャレ自転車屋さん、トレックコンセプトストア「バイシクルカラー」さんが2号店を出した!という話は前から聞いており、気になっていたので、今回ついにお邪魔してみました。
場所はなんと八戸ノ里!私の30代はほぼ大東・東大阪で過ごしております。もうほぼホームタウンですわ。
しかしもしこの場所が本当なら、すぐ近くにトレック専門店があったはず・・・。それが移ったのか?と思いましたが、依然としてある模様です。だとするとフランチャイズの横に直轄店ができるような感じですか。セブンイレブンみたいで怖い!ちょっと事情が深そうなので、スルーします!!!
車通りが多い上に、近大の学生の逆走お構いなしの自転車が怖すぎる交差点に、いきなり衝撃の光景が。
かかか、看板の並びがスゴイ!
アース、ミュージック&エコロジーとスタバに挟まれた自転車屋さん!
こんな光景見たことない‼
かつてこんなポジションにきた自転車屋さんがあったでしょうか?いや、ない(反語)。
田舎モンなので、「ここは松井山手か???」と思ってしまう違和感!八戸ノ里やで!急行停まらへんで!急行どころか、準急も止まらへんで!スーパーマンダイの先やで!嘘やろ!
そして門構えがデカい!
店内ではカップルが接客を受けており、男性が「コレカッコええよなぁ~!」とか言いながらクロスバイクを購入中。彼女が興味なさそうにブラブラしておりました。よく見る光景ですね。
さて店内。
あんまり写真撮りにくい雰囲気だったので、これだけですが、十分伝わるかと思います。
ドココレ?ヴィトン⁉
なんで上から山登りのやつぶら下がってんの?登っていいの?オブジェ?オブジェってやつ?シャレオツでんなー。
とにかく店広いんですよ。登美ヶ丘店の何倍かな。3倍かな?照明も間接照明でオシャレ。クロスからロードまでバッチリラインナップされており、「売約済み」と書かれた自転車がズラリ!景気よさそう!
清潔な店内に、ズラリと並ぶトレック様のフレームとボントレガー様のパーツ。ウェアはカペルミュールとオリジナルジャージ。いやぁ、想像以上のセレブ感でした。大阪市内でもこんなのないわ。ようこんなせせこましい街にこんなゆったりした物件あったなぁ。彌栄神社付近の一方通行だらけの道抜けたらこんなのがあるなんて想像もできない。司馬遼太郎もビックリや!
正直、フレームは新しいの要らないし、カーボンはさらに要らないし、ボントレガーのパーツはグレードが分からないのでノータッチだし、鍵やライト見てるのも変だし、ヘルメットでも見ようかと思って見たら、初めて見るブランド発見。「KARMOR」とあります。OGKそっくりの形でいかにも日本人に合いそう。重量も260gで、2万円台となかなかいいところついています。へぇこんなんあるんだなぁと思っていると、若い店員さんがいきなり声をかけてきはりましたッ!
「何かお探しですか?」
よく考えたら私のカッコ、YONEXのジャージの上下で靴はクロックス!ドンキホーテが似合う男ナンバー1!何にも知らんど素人が覗きに来たと思われたのかしら?あ!よかった!一点だけ、自転車乗りをアッピールするグッズが!raphaのサコッシュ!ナイス!昔はタダでくれたサコッシュ!靴下買っただけでくれたサコッシュ!4つも持ってるraphaのサコッシュ!よかった!コレで俺もラグジュアリーなローディ様に見えるに違いない!きっと普段はドグマにお乗りのお客様が、マドンにお心移りなさっているように見えるに違いないッ!きっとそう!
そんな揺れるオヤジ心も知らぬげに、生徒みたいな若いお兄さんが気さくに話しかけてくれましたが、マジで探してるもんがなにもないので、「いや~見てるだけなんスよ~」と返事するのが精いっぱい。でもいっこだけ聞いてみようと、「このヘルメットのメーカー、初めて知りました。OGKの新ラインかなんか?」と聞くと、「いいでしょ~コレ~。韓国のメーカーなんで、アジアンフィットなんですよ~」とのこと。知らんかったけど、ええ線ついてた。
結局店員さんとはそれっきりで、あとは、「スタッフのバイク」と書いてあるすごい高そうでエアロなバイクと、「トライアスロン年代別5位です」とかスタッフ紹介してあるのを見たりして、このラグジュアリーな空間をあとにしました。
さて。
帰り道、高速代浮かせるために蒲生から阪奈道路を通りながら、色々考えました。
すごい。出世や。自転車屋業界からしたら、大出世や。2号店出せるだけでもすごい。(堺にもあるからもしかして3店舗?)成功者や。セレブや。頑張らんと、ああはなれん。登美ヶ丘できたときもオシャレや!これは商売人や!て思いましたけど、本当にすごい。努力している。そして結果にコミットしている。店長さん、正確には2店舗ともスタッフに任せてらっしゃるので、2店舗統括しているもともとの店長さん、本当にセンスが良くて、時流を読む目があり、チャンスに乗る嗅覚もあり、自転車への情熱も熱いんだと思います。素直にすごい。
場所は近大のそば。ある意味今一番ノッてる大学。今一番浮かれている大学(笑)結局、大人より、大学生の方がお金自由に使えるんですよね~。バイト代全部つぎ込めますから。生活費ゼロだから。最低でもクロスバイクは毎年千人単位で新入生が入ってきて、親御さんのお金で買ってもらえるわけで。上級生になればロードも買ってくれる。少なくとも、そのパイが万単位でいる。自転車サークル的なものもいっぱいあるだろうしなぁ。今までは大阪市内のワイズやらシルベストやらウエパーに言ってた層をまるごとすぐ近くでさらえる。メンテもここでできる。東大阪は市内への便が悪いけど、クロスでもあれば難波まですぐいける。ええ場所に作ったなぁ。逆に大阪市内の自転車屋なんか自転車で行けへんもん。排気ガスで鼻の穴真っ黒にして自転車泥棒だらけの街に行くなんてッ。
もともと登美ヶ丘店も登美ヶ丘がノリノリのときに華々しくできて、こりゃあ、駅前のクリニックしかないような一等地にすごいなと思ったものでした。そして今、登美ヶ丘の元気なパパさんがそろそろ本格的にオジサンになってきたときに素早く東大阪にもっとでかい店を作る。タダモノではない。しかも併設2店舗と共用の駐車場付き。これは大きなトレック本社の資本がガッツリ注がれてるのかなぁ。円安だしなぁ。もし店長の腕一本だとしたらもっとスゴイ。
これで、バイシクルカラーの2店舗を結ぶライドコースなんてものも可能になったわけです。登美ヶ丘から阪奈を越えてもよし、清滝越えてもよし、168でもよし。暗峠にもチャレンジしやすい。途中のゴチャゴチャしたとこさえ我慢すればあっという間。30㎞やん。バイシクルカラーからバイシクルカラーまで移動してスタバで休憩して。完璧ですやん。
店長さんのプロフィール見たらなんかスゴイ。ものすごいスポーツマンやし、前向きで、努力して、若くしてお店もって、どんどん大きくして。偉いなぁ。っていうかスタッフさん、一人知ってるわこの子!教えてないけどもともと働いてた学校の生徒さんや。ええ子やったわこの子!高校生の時すでにめっちゃ速かったし!この子おるなら大丈夫やわー。
こういうお店を見て、「こんなこじゃれた店はアカン!」とか決めつけるおじいちゃん、おるんですよ。ようおる。
それはちゃうで、と。
自分がカッコ悪いからといって、オシャレなやつ=悪と決めつけるのはアカン。それはもっと本質的にカッコ悪い。人としてカッコ悪い。
わかりますよ。自転車屋いうたらネジやらワッシャーやらやたら落ちてて、油まみれで、「そういうの」こそが自転車屋や!っていうの、わかります。でも自分が育った環境と違うからと言ってすべて否定するのはおかしい。やっかみなら「やっかみです!」と言えばいいんです。私だってこんな空間は落ち着かない。でもそれとお店の良し悪しは関係ない。実際努力してたくさんたくさん自転車売って、それだけ人を幸せにしてれば、それはいい自転車屋さんですよ。いろんなブランド揃えて、ちょっとしか売らない店より、一本最高だと思うメーカーを決めて、それに合った規格の部品でしっかり間違いのない自転車を作る。お店もメーカーもお客も幸せ。
やれホリゾンタルだ、ラグが美しい、やっぱりこれにはシルバーパーツだねとか、俺のはシマニョーロだと自己満足な自転車作って、乗りもしないで店でダベってるだけの「常連」とやらとつるんで他人の悪口言ってるだけのような店より、ずっと健全ですよ。オシャレで何が悪い。たくさん売れて何が悪い。お店が増えて何が悪い。
別にここから怒涛の「でもね・・・」で批判が始まったりしませんよ。こういう川上の商売ってのは、華やかですけど、華やかなりの苦労も当然あるんですよ。川下が勝手に川上は苦労してないなんて言うけど、それは違う。川上には川上の苦労がある。でかい会社に入ったら、デカい会社の中での競争があって、お店を持ってはる。そういうのをしっかり乗り越えて、こうやって成功してる。奈良からはじまった自転車屋さんが、大きくなってる。大阪から浸食されるばっかりの奈良なのに、逆に攻めとる。やればできる、じゃなくて、やってできとる。下剋上。そのうち大阪市内でもできるかもしれない。
確かに「たくさん売ればそれでいい」とは思いません。でも、じゃあ、あんまり売れないところがいいのかって言ったら、それは違う。まずはお客さんが幸せになれてるか。その数の多さを追求するのもいいし、その笑顔の近さを大事にする店もある。
大型のチェーン店で、売らんかなでサイズの合わんもんを素人だまして売り付ける悪質なお店もありますが、たくさんの店員さんを雇ってても、ちゃんと人を選んで、しっかり教育していれば、何の問題もない。そんなもん小さい店でも変な店長とかザラにある。常連と喋ってるだけで、勇気を出して10万握りしめて自転車探しに来た人を追い払いような店いっぱいある。常連と名乗るただの素人が勝手に自分の趣味押し付けてくるとこザラにある。
たしかに、トレック以外選べのないのはちょっと物足りない。ボントレガー以外のパーツを選べないのも同様。でもそれならほかの店にいけばいい。トレック最高!と思える方と、何にも分からないから安心して買いたい方にとってはこれ以上ない場所。通販で買った自転車を一人でいじって、手がつけらんなくなって、どっかの店に泣きつくだけとか、整備だけお店にやらして部品は全部海外通販ですとか、そんな人よりよっぽどまともな客が来ているはず。お高い雰囲気に気圧されて、「こういうの、高いんやんなー?軽自動車買えるんやろ?」とか言うて帰るだけのおっさんの相手しなくてもいい。いい魔除けですよ。あのボルタリングは。
もちろん、今さら私にあそこは必要ありません。もう自分の居場所があるから。それに、楽しめる人はどこでも楽しめる。それこそ、極論お店なんて必要ない。メンテナンスの技術をしっかり身につけて、自己責任でなんでもできるようになれれば、海外通販でお安く、デローザでもなんでも買って、BORA ULTRAでもなんでもつけて乗ったらいいんス。なれるもんならそうなりたいッス!
どんどん自転車業界も弱肉強食で、ブームも去って、広がるだけ広がった風呂敷を畳まなければならなくなってきている。そんな中でも、逆に大きくなっていく店もある。そんなときだからこそ、ホンモノは残れる。ホンモノのあり方は人それぞれ。大企業だからダメだとか、小さいからいいなんてことはない。どっちかというと、小さい方がダメなときは底が抜けてたりする。少なくとも今日覗いただけの付き合いでは、あのお店を見て「すごいなぁ」以外の感想は出ませんでした。別に僕自転車屋さんじゃないですけど、お寺だって大きく言えば経営と言ったらダメですが、「運営」がありますから、たゆまぬ努力をされていることが一目で感じられました。
とにかく今日私が考えたことは、あの店がどうこうではなく、「頑張っている人を、頑張っていない人が笑うのは情けない」、ということです。
いや、別に誰もあそこの悪口なんて言ってないんで、じゃあ、お前は誰と戦ってるんだ?ってなりますけど(笑)結局、あそこを見て何か言いたくなりそうな自分を見つめ直しているんですよ。
今日も煩悩のシャドウボクシング。副住職の通常運転、であります。