新年早々情けない大失敗の巻
お恥ずかしいお話をしなければなりません。調子のいいことだけ書いているのはフェアではないですから。
それに、ちょっと情けない奴のブログの方が、読みたくなりますよね?私はなります。
毎日ハードなトレーニングをしているストイックでお金持ちのお兄さんのブログとか興味ないッス。
そんなわけで情けない中年のショボいブログが今日もスタートであります。
その日。私はお寺の仕事を終え、昼から自由になりました。
奥さんも「今日は乗っていいよ」と優しいお言葉。どうもありがとうございます。
そんなわけで、一人で山登りでもしてみようということになりました。
「大正池の表裏に犬打峠も登って、ヘロヘロになってやろうかな」
「いや待てよ。三国越林道なんて、いいじゃないか」
そんなことを考え、和束のローソンで補給してから、あのややこしい道をひっそり選んで三国越林道にひっそりと入ります。
この付近のローディが集結する和束とほんの少ししか離れていないのに、三国越林道はいつもいつも淋しいです。三国越淋道って呼んだ方がいいのじゃないかと思うほど。夏でも数人に会う程度。冬にはほとんど誰にも出会いません。落石の危険もありますし、何より景色が単調で、上り下りが何度も繰り返されて、ウンザリします。この手のレイアウトが一番苦手です。
しかし「伊吹山のため!」と自分を奮い立たせてえっちらおっちら上って下って、ようやく童仙房へ。
つきました。
ここまでは余裕があったので、さらに進みます。以前、お友達とこの先を抜けようとして道を間違って、えらい目にあいました。今回こそ、正しいルートで伊賀方面へ行きたいものです。
さらに淋しい道を登ります。道路の状態はそれほど悪くないです。こんなに走りやすいのに、なんで人が少ないのかなぁ。
なんて思って黙々と汗をかいては下りで冷やして寒々としながら、進んでいくと、つきました。
三国越林道の展望台です。いい景色です。
このまま進んで伊賀に行ってもいいのですが、途中ちょっと時間を食ったので、この時点でもう3時。よきパパ、よき夫であるために、そろそろ帰ろうか。今日ライト忘れたし。
そうしてまた黙々と来た道を帰ろうとした、そのとき。
プシュ!
アレ?なんだろう。この音は。
アレレ。タイヤの後輪がなんかおかしいぞ。アレレ。コレはもしや。
新年早々ですか?
パンクの神様ですか?
(ノ∀`)アチャー。こりゃまたえらいところで。
面倒だなぁ。仕方ない。クリンチャータイヤだし、さっさと修理していくべ!
道路に座り込んで道具を出し、さっさとタイヤを外して、はずし、はず・・・
アレ?
なんか、固いぞ?
これ、新しいタイヤを卸してはじめてのパンクだから、タイヤが固いのかな?おかしいな。
アレ?アレ?めちゃくちゃ外しにくいぞ?
予想外に時間がかかるも、タイヤを外し、チューブを交換しました。穴埋めは家でやろうっと。
さーて、タイヤをはめてさっさと行くでー。
タイヤをはめて。タイヤをはめ・・・はめ・・・られない!!!
固い!!!
異常に固い!この感触、まるで、コレはまるで・・・
チューブレス!
アレおかしい。確かにこのホイールはチューブレス。しかし、今回シーラント剤によるリム腐食のためエア抜けがひどくなってきたので、タイヤをクリンチャータイヤのリチオン2に替えて、クリンチャーホイールとして生まれ変わったはず!クリンチャーのタイヤ交換は死ぬほどやった。余裕でできる。しかしなぜこのタイヤはこんなに・・・
あ・・・。
そうか。そうなのか。俺バカだった。チューブレスタイヤがはめにくいのは、タイヤ自体の気密性が高いのだとばかり思っていた。そうではなく、ホイール自体の構造がはめにくい構造になっているからなんだ。タイヤを変えても結局はチューブレスタイヤと同じはめにくさなんだ!うかつ!
チューブレスタイヤのはめにくさにかつて散々苦労し、滅多にパンクしないために余計実践機会が少ないままここまできました。毎回やるたびに指の皮が剝けてしまう。うううう・・・。アレをいまするのか・・・。
たぶんこのビードの穴にタイヤを押し込んでからやればいいんだよな。きっとそうだ。うーん。うーん。
アカン!
あっという間に時間が過ぎて、身体はどんどん冷えます。夕食は住職も会わせた4人で食べますから、帰宅が遅れたら申し訳ない。とりあえず奥さんに電話をしよう。そう思って携帯をとって、ビックリ。
携帯の電波が届かない。
わし、docomoやで!天下のdocomoさまやで!マジか!?docomoさまの電波が届かない辺境なのココ?離島でもないのに!怖い!
やばい・・・おれ・・・ひょっとして・・・
遭難・・・?
おおげさな~!( ̄∇ ̄;)
だいじょうぶだいじょうぶ。最悪歩けばいいじゃーん。さっさと直すぞー。今日はちらし寿司だぞー。
しかし手元は焦り、ますますタイヤはハマりません。少しずつ暗くなってきました。焦りがマックス。
自転車を担いで電波が入るところまで移動します。ありました。辛うじて入ります。
電波が通じたことに安心して奥さんに状況説明。夫婦二人ならともかく、住職と娘の食事が遅れるのはよくない、ということで、
「今から迎えに行くわ」
と奥さん。
情けない・・・。
男の趣味で、自分のピンチを自分で切り抜けられない。自分のケツを自分で拭けない。情けない。こんな情けない話、人に言いたくないのですが、全国の皆さん、笑ってください。こんなに恥ずかしい人なんです。私は。しかもこんな山奥まで奥さんに運転で来てもらうのも申し訳なさ過ぎる。
敗北感に打ちひしがれつつ、とりあえず童仙房の民宿まで歩こうと決め、そこで修理続行しながら奥さんも待つという二正面作戦のため、自転車をかついで歩きます。
トボトボ歩いていますと、家族連れと出会いました。小さな男の子が私を見て、こう言いました。
「アレー?おにいちゃん、自転車壊れたのー?」
ふおおおお。恥ずかしい!江戸時代なら切腹してる。情けない。
「どうしたんですか?」
ママさんも心配されています。
「実は・・・」
と説明しますと、
「ちょうどいま、奈良に帰る人いるんです。乗せてもらいますか?」
甘えてはイカン。甘えては!しかし、しかし・・・
ありがたい・・・。
親切にも来客の男性が帰る途中加茂まで乗せて頂けることになり、奥さんには加茂で集合することになりました。あんな山道を奥さんに運転させるのも怖すぎる。本当に助かりました。
困ったことに親切な男性の車は外車で「汚したら大変や」という心配で後ろばかり気にしながら、しかし気さくな方で色々な話をしながら、加茂まで送って頂けました。ああ、そういえば昔、小学校の時、図書館で自転車のカギを無くして、いつもお世話になってる石屋さんの軽トラに乗せてもらって帰ったなぁ。俺、41歳にもなって、小学生の時のままやん・・・。
こうして無事加茂駅につき、夫婦二人で恐縮して、親切な男性とお別れしました。童仙房の奥さんとこの男性には感謝しきりであります。無事、家族4人でちらし寿司を食べられました。ありがとうございました。このお礼は必ずしなければなりません。
今回この恥ずかしい話をみなさんにした目的は、これからチューブレスを買いたい初心者のあなたに一言お伝えしたいから。
チューブレスホイールは2wayホイール。チューブレスにも、クリンチャーにもできる!
なんていいことづくめのように書いてますが、よく考えてみましょう。
・チューブレスタイヤはリム打ちパンクが少ないので、滅多にパンクしないが、パンクしたとき厄介。
(特にサイドカットしたとき)
・クリンチャータイヤは頻繁にパンクするが、回復が容易。
その結果、チューブレスホイールにクリンチャータイヤをはめた場合、
頻繁にパンクするのにパンクすると厄介
という困った乗り物に乗ることになります。
対処法は
チューブレスタイヤの交換に慣れること。
これのみ。今日はひたすらチューブレスタイヤをはずしてははめて、皮を剥かずにはめられるようになりました。遅いって。
そもそもチューブレス時代にはタイヤのパンク時に酸素と触れて固まるシーラント剤が入っていまして、パンク対策になっているのですが、これがあるゆえに安心してタイヤ交換の習熟がおろそかになっていました。また、シーラント剤が入っているせいで、これがこぼれたらもったいないからパンク練習がしにくいという理由で、練習をサボる理由にもなりました。で、クリンチャータイヤに変えたからもうアレせんでもええわと安心してました。甘いわ。ちょっと考えたら分かるやん。
そのへんラガッチの店長なんて、シーラント剤入れたまんまで、こぼさないようにチューブレスタイヤをはめる、などという宮本武蔵の「箸でハエ」みたいな雑技団みたいな真似をするのです。あそこまでとは言わないですが、自分もどんなに焦っても寒くても、家族に迷惑をかけない程度には慣れていないといけません。
そしてライトを忘れるなんていう初歩的なミスもナシにしないと。USB充電式はついつい充電忘れてたり、充電時に外してそのまんまになったりします。電池式と充電式のダブルを標準装備にしておかないとと思いながらも面倒で今日の事態を招きました。
とりあえずロングライドの最中やほかの人がいないときでよかった。不幸中の幸い。もっともっと山奥の、人通りのないところだったらリアルに遭難になってた。冬の山ナメてた。自転車ナメてた。
いやーしかしチューブレスタイヤ、クリンチャータイヤにしてもああだなんて。しかも空気入れたときのあのビードの上がる破裂音がクリンチャーでもするなんて・・・。コレ、CO2ボンベでやってたら、山奥で一つしかない予備チューブが破裂したらどうしようとかビビりながらエア入れるわけでしょ?コワー。
2way、2wayってなんか文明の利器みたいに薦めるのは考えモノですね。本当に。手組のクリンチャーでええわ。ホンマ。
自転車って、体力まかせで乗るだけじゃなくって、困ったときのピンチの切り抜け方まで含めて自転車。分かってはいたけど、ついつい自分を甘やかしていたこと、自分の情けなさと家族への済まなさで一晩眠れなかった私です。
実は、今年は後厄なんです。私。
昔から、「後厄は本厄よりあぶない」と先代のおじいちゃんから聞いてました。さっそくきたやん。後厄パワー。
ってまぁ、パンクは運が悪かったですけど、直せないのは自分のせいだし、後厄関係ないですね。むしろこんなくらいで済んでよかった。怪我とかしてないし、いい人に出会えたし、チューブレス練習できたし。
調子に乗ってた自分への戒めとして、いい経験ができたと思います。そんなこんなで厄年だろうと何だろうと、人生山あり谷あり。喜んで、落ち込んで、そういうもんだと思って進むしかないですなぁ。
追伸:
ん?待てよ。以前ネオプリ先生が「先生、タイヤ交換ってできますか?僕自信なくって・・・」って言ったとき、「え?マジで?ソレ、カッコ悪いで!」とか言ってたんですが、彼、確かチューブレスにクリンチャータイヤだったはず。と、いうことは、あのあと「練習して交換できるようになりました!」って言ってた彼の方が、僕よりずっとタイヤ交換上手な状態だったっていうこと!?恥ずかし!また今晩寝られへん!