奈良町異空間
※最初は自転車の話ですが、すぐ終わります。
先日住職も私も暇という素晴らしい日がありまして、午前中だけ自転車乗っていいよというお許しが出たので、いつもの奥山TT練に行ってまいりました。継続的にトライしてとりあえず20分切りを目指して頑張っているのですが、なかなか自己ベストが伸びず苦しんでおりました。
ちょくちょく乗りつつ、合間合間にバド部の練習で男子高校生と2日で10セットのシングルゲームなどこなしつつ、いい感じで仕上がってきたので、今日はちょっといける予感。前半飛ばし過ぎで後半ダレるのもダメ。前半残し過ぎても結局しんどいもんはしんどい。そのへんのさじ加減をうまくしながらガンガン攻めて、いけたか?タイムは・・・
20分16秒!
くーーーーーーーー。16秒!16秒足りないわ。でも今だから言うんですが、45秒縮めました。45秒も縮まるということは、逆に言えば今まで全然追い込んでなかったということ。別に何の特別なトレーニングもしてないのに、このひと月で90秒くらい縮まってます。遅い日は3分くらい遅い。結局実力がないのであります。その日の体調と根性次第。それって中身がない証拠よ。
とはいえ、自己ベスト更新に気をよくして、そのままいつもの大柳生回りで帰り、ごはんでも食べてたまにはぶらぶらしようかなと思いました。
しかし好きなお店は全部定休日。それではと、あまり観光客のいかない地元系のお店に。
中華料理 大廣(たいこう)さんです。
それはパッと見なかなか観光客が入りそうもない、昔の市場の奥に・・・。
中で写真もアレなので撮ってないですが、本当に昔ながらの中華屋さんって感じで、たまらんノスタルジーなんですよ~。市場自体がもうええかんじ。こういう市場、もうどこもかしこも閉鎖してるので、こんな場所のめっちゃ奥で元気にやっているあたり、地元からの愛を感じます。いま流行りのラーメンとかは期待したらダメなんですが、コーンの乗った昔ながらのラーメンを食べたくなったらどうぞ。
場所は椿井小学校の東。老舗墨屋さん古梅園さんのもうちょっと先になります。
古い街並みに俺の自転車合うなぁ~。
ついでなので、奈良町もちょっとぶらぶら。
古い町並みが残る奈良町でも、よく見れば段違いのクオリティのうちがあります。
いやー古い街並みにも俺の自転車は(略
いいでしょ?ここ。今度ちゃんとしたカメラでバッチリ撮りますね。
築100年の古民家がそのまんま残されており、なんと無料で見られるんですよ!中も清潔で、よく考えられた間取りで、今再現しようとしても絶対にできないと思いますね。いい仕事し過ぎて、僕には本当の意味でのすごさは分かってないと思いますが。
なんという天井の高さ。
昔はここまででもないですが、こういう家、いっぱいありましたよねぇ。
実は昔「ここに住んでいた」という方とちょっとした知り合いでして、たくさんおうちの思い出を聞いたことがあります。こういうのは本当に、直接聞かないと聞けない話なので、聞いてよかったなぁと思います。
敢えて言うなら、なんかこう、「にぎわいの館」という名前が体を表してないような気がするので、もうちょっといい感じの名前にしてほしいと思うとか言ったら関係者に怒られますか。だってなんか人情屋台村みたいだもん。字も。ロードバイク好きのセンスいい書道家知ってるから紹介したいほどであります。
複雑な奈良町の細道を右に左に進んだり戻ったりしていると、いきなり奈良町のなかとは思えない開放的で草木の緑がすがすがしい、オシャレ空間が!
なんとここ、奈良漬け屋さんなのですっ!
奈良漬けの並べ方!オシャレ!なにこのパティシエの作ったスイーツみたいな。
奈良漬けの老舗といえば、山崎屋さんとか寿吉屋さんとかありますが、ここはあしびやさんの「あしびの郷」。
奈良漬けやお茶をいただけるだけでなく、結婚式の会場としても有名です。実は私、ここで結婚式の二次会を開かせてもらいました。すごくいいところです。
さて、あしびやさんをそのまま過ぎると何でもない小道があります。
なんかこの道、気になりません?
私、数か月前にここを通って、なんだか気になって気になって。
もう奈良に住んで40年ですよ。初めて見た。こんな道が記憶にない。どこに通じるんだろう?と。
あれ?こんな話、前にあったな。
あ、ジョジョや・・・。
「コンビニオーソンとドラッグのキサラの間」にあるあの小道ッ!
「ぜったいに振り返ってはいけない小道」ッ!
なんかあの雰囲気に似てるなぁと。この道抜けたらどこなんだろうと、その日そのまま吸い寄せられようにこの小道へ。
こんな景色がありました。
なんか雰囲気あるでしょう?だらーんと下っていく、距離のわりに遠く見える不思議な坂。そして何より、一本入っただけでびっくりするくらい静かなんです。この通り。下った先には車が通っているのも見えるのに。ものすごく静か。遮蔽された空間のよう。
そのとき、町名を書いた看板を見つけた私。そこには・・・
「陰陽町」‼
御霊神社というのはこの小道よりもっと西にある有名な神社です。それは知ってます。しかし「陰陽町」ってあるんだ。知らなかった。
しかしこの看板の古びた感じと「陰陽町」と「御霊神社」の文字のコラボレーション。たまりません。
どうやらこの道の両サイド数軒の狭いエリアが「陰陽町」というようです。
「陰陽町」といえば、当然「陰陽師」を連想するわけですが、読み方はあくまで「いんようちょう」。
しかし陰陽師にはしっかり関係しております。
昔、ここには中国から伝来した暦法を研究する陰陽師が住んでいたところらしいのです。陰陽師は別に京都の専売特許じゃないんですよね。堀川通りの一条戻り橋の安倍晴明神社が有名ですが、安倍晴明の安倍氏ももとはと言えば奈良の豪族。安倍晴明がそのものズバリ安倍文殊院のある「安倍」で生まれたとか、安倍文殊院で修業したとかいう伝承もあります。
しかし陰陽師の奈良での活躍は「時を司る」という陰陽道本来?のいわゆる「天文博士」としての仕事が主で、おどろおどろしい話とかは奈良には残ってなくてさみしいです。ですが、呪符を使ってどうこうというところは同じ。ただし、人型の呪符を使役とかそんな話は残念ながらありません。
しかしここには陰陽師との繋がりを強く感じさせる名前の神社があります。
「鎮宅霊符神社」です。
なんてカッコいい名前。
門をくぐると清澄な雰囲気。しかしそれを一気に和らげる存在が!
狛犬です。なんだこのディズニーキャラのような愉快な表情は!
客寄せのため最近作ったのか?違います。
なんと1867年に作られたそう。すごい!大政奉還やないですか!この時代のセンスなのか・・・。なんかよくわからないけど、すごい。
この神社については私などよりもっともっと詳しいサイトがありました。
http://www.narayado.info/nara/chintaku-reifu.html
めっちゃ詳しくて分かりやすい!桜井の旅館のサイトなのにこんなマニアックな場所について詳しく書くなんて・・・。
坂のてっぺんにあるこの神社は、北極星がまっすぐ見える場所だったと言われます。
いにしえの陰陽師が空を眺めて星辰を読み解き、吉凶を占って災いを避ける呪符をここでしたためた・・・。
そんな古代のロマンが、なにげない小道の先にひっそりと存在している。
観光客がきても基本どこも無料で、商売っ気のないゆる~い町。しかしそこには古代のロマンが地層のように堆積した不思議な町。
奈良町サイクリング。なんとも心地よい異空間散歩でありました。