慈眼寺 副住職ブログ

伊吹山ヒルクライム初参戦~決戦編~

さて、いよいよ決戦当日。
朝は目覚ましより早くスッキリ起きて、宿の食事をとります。意外!と言ったら失礼なのですが美味しい食事で元気いっぱい。ジャージ姿のおっさんだらけのホテルの食事でした(笑)

ヒルクライム大会参加は第1回菰野ヒルクライム以来ですので4年ぶり!あのときは何も分からず、とりあえず完走するだけで精一杯。順位もカテゴリ120人で90位くらいだったはず。

1年前に体重の時計の針を10年分戻し、そこそこ練習して当日を迎えました。

道も空いていて決戦の地、関ケ原にもすぐつきました。問題は・・・

空模様。

天気予報では雨は五分五分。ただし山の天気です。午後から回復なのですが、レースは朝なんだよ~。

とりあえず駐車場についてストレッチ&トイレ。出すものをしっかり出して体調を整えます。

じきに雨が降り始めます。きたかー。

車の後ろの扉を跳ね上げて屋根代わりにし、その下で3本ローラーでアップをはじめます。
菰野のときは「レース前にアップ」という概念が自分になく、まわりの本気度に引いてしまった思い出が・・・。あと、あのときは大ファンである金子広美選手がすぐ横を通ったのに緊張して声をかけられず、一生に何度かというチャンスを逃した思い出だけが・・・。

そんなこんなを思い出しながら、黙々と身体を温め、15分ほどしたら強度を高めて最大心拍の90%程度まで上げて、また緩め、落ち着かせて、また上げて、緩めて・・・

そんなこんなで身体も温まったので、集合場所に。うまい具合に雨がやみました。ただ、ゴール付近は濃霧とのこと。

私のカテゴリはスタートが遅いので、これなら当日入りで十分だったな、なんて思いましたが、まぁ余裕をもって行動できたし、よかったです。

まわりの同じカテゴリの人たちを見ると、カーボンパーツでゴリゴリに固めた人ばかり。みんな速そう。ですが、こういうときはみんな速そうに見えるもの。入試と同じです。みんな不安ですし、みんなしんどいのであります。よくよく見れば私のようなメタルフレームの人も何人かはいます。私のようなSPDのペダルの人もいます。フラペにスニーカーの人までいます。正直関係ないんです。ホント、私なんかのレベルで何使っても。気に入ったの使えばいいんです。

スタート地点まで移動。妙にトーク力のある人が司会進行していて、今年のツール中継はこの人が仕切ってほしいくらい。聞きやすいトーンで軽妙なトーク。「お説教、やらないか」と声をかけたいくらいであります。

40歳~44歳までのカテゴリの最後の組でいよいよスタートが近づきます。見た目の順位は関係ありません。緑のマットを踏んでから、ゴールの緑のマットを踏むまでの自分だけの戦い。ほとんどセンター試験であります。

そういえば今回の目標を言うのを忘れていました。

今回の目標は、ズバリ!

ショートコースなので40分前後!できたら40分を切りたい!順位はカテゴリ500人中100番以内!

というものを密かに設定していましたが、当日雨と濃霧のコンディションのため、棄権(DNS)が続出。出場選手の20%以内に入れたらいいなぁ、くらいの。

そんな野望を抱きつつ、関ケ原でいよいよスタート!センター試験より全然緊張しません。お説教の方が30倍くらい緊張します。所詮趣味の遊びなんですよね~♪と思うと気楽。ただし、本気で遊びましょう!

スタート直後に事件。いきなり左前の方から「プシュ―!」の音。たぶん集団の全員が。

「あ。パンクや。」

と思いました。いきなりスタート5メートルでパンクした人が!可哀そうすぎる!哀・戦士!

可哀そうだけど何もできないので、荒野を走る死神の列はそのまま走りすぎます。

基本的にヒルクライムは「始めチョロチョロ、中パッパ、最後は死ぬ気で踏め!」ということになります。

最初は無理しない、が鉄則です。しかし「どの程度無理しないのか?」というのが自分の中でよくわかりません。とりあえず今日は、この前の奥山の自己ベストを参考に、心拍170を基準に、前半を160台で抑え、後半も170前後、最後は180まで上げていこう、という方針です。

最初の急斜面。速い人はどんどん上がります。すぐに見えなくなりました。ついていくかな?どうするかな?と迷いつつ、集団のスピードに合わせます。ところがすぐに「ん?コレ、遅すぎね?」と思い始めます。さすがにここまで抑えなくていいだろう、と思い、スッと抜いていきます。そうやってどんどん進んでいきますと、だんだん目につく人が3人ほどできました。

「この人、さっきもいたな」と思う三人。

速い人なので、いっとき置いていかれたりしますが、しばらくするとまたいたりします。目先の順位は変わっても、長い目で見たらだいたい同じ速度帯のようです。この人たちを目安にすることにしました。

特に目立っていたのがNakagawaのピンクのフレーム。ジャージもピンク。

ガチですね。

Nakagawaはほぼガチなイメージ。ふくらはぎもゴツいッス。怖いッス。わりと息が荒い人で、離れてもすぐわかります。共感できます。私も息が荒い方。私は鼻呼吸が苦手なんですが、そのせいでしょうか。最初っから(*´Д`)ハァハァ言うんですよ。私も。そのかわり最初から最後までこうなんで、最初は悩んだんですけど、もういいかなって。静かに遅い人もいるわけですし。そんなわけで息の荒いコンビで行かせてもらおうと、ちょっと後ろにつかせてもらいました。

なんかズルいような気もしたんで、気が引けたんですが、私より速いので自然と後ろにつくことになり、前に行くとすぐ抜かれるので自然とコバンザメ走法みたいになってしまいます。さらに、あと二人ほど、BMC(だったと思う)のジャージを着たスラッとした同年代とは思えない脚の長い人が常に5メートルほど前に。あともう一人速い人がいて、BMCを先頭に、残りの3人が入れ替わる展開になりました。

気が付けば既に5キロ。タイムを見るのを忘れ、心拍ばかり見ていました。ただ、思ったより楽に半分が来たので、「アレ?もっと踏んだ方がよかったかな?」と不安に。でも、いやいや、心拍心拍。無理しない無理しない・・・と自分に言い聞かせ、いよいよ「中パッパ」に入るタイミングを探ります。

しかしそれにしても傾斜がたいしたことない。平均7%って結構な坂なのでビビってたんですが、数字よりすごく楽です。意外に下りも結構あるし。菰野のときは抜き合いがすごくて、傾斜を避けて外側を走る人に「どけて!」と怒鳴る速い人とかいて怖かったんですが、なんだか今回の伊吹山はロングライドイベントのように紳士的な人ばかりであります。抜くときは「すいません」とか、当たりそうになって「ごめんなさい」とか謝る人ばかり。礼儀正しさに感心しながら抜いたり抜かれたり、謝ったり謝られたり。なんだか若狭センチュリーライドみたいな気分で走ってしまいました。

そうこうしているうちに、後ろからバイク!出た!後からスタートしたカテゴリFの先頭の選手です。はやっ!しかも息が荒ッ!誰よりも息が荒い。そうなんです。レースなんてみんなしんどいんです。楽な人などいない。カテゴリのトップの人でも、というより、トップの人であればあるほど、しんどいのであります。最初から最後まで全力で走れる心臓と体力があるということ。スタートからゴールまでハァハァやり続けられたら優勝なのです。

「息が荒い派」のトップの活躍に感動しながら彼を見送り、はたと気づけばもう8キロ。

え???あと2キロ?もう終わるやん!全然余裕あるやん!いいの?いいの?と思っているうちに残り9キロ!

中パッパ全然してへんやん!アカーン心拍ばっかり見過ぎた!もう行かないと!今日はセンチュリーじゃないんだった!

そこから一気にギアを上げて踏みました。もうNakagawaピンクも他の人もどこにいるか分からなくなり、下りでは下ハンでガンガン踏みます。言うてる間に残り1キロ。え?短くない???エンゼルラインで店長の屁をかまされた時の方が死にそうだったんだけど!

アレ?え?え?と思ううちに残り200m。最後はみんなすごいもがき合いをするのかなと思っていたのですが、最後の200もみんな淡々。道も細いし、なんか抜きにくい雰囲気だなぁと遠慮しながら、心拍も181までしか上がらず。最後の最後で誰かに抜かれそうになり、別に見た目上の着順は関係ないんですけど、とりあえず負けて終わるのは嫌なので、最後の3mをその人と争って、なんとか差し切って終了。むやみと人と争う、感じの悪いお坊さん!がゴール。

タイムは・・・サイコンストップするのを忘れ不明!

そのあと預けた荷物を探し出す壮絶な生存競争があり、濃霧立ち込める下りをゆっくり下りて、「コレ、逆にブレーキかけすぎで握力なくなって女性とか事故が起こるのでは?」なんて心配しながら無事生還。おうちに帰るまでが遠足です!

下界についてもまだリザルトは出ず。一旦車に戻って着替えてからリザルト確認にいくも、リザルト掲示のお兄さんが、ぶつぶつ文句を言いながらA、B、C、Dと張り続け、やっとE!と思ったらその次にGを張り始めたので忍耐が切れ、「もうええわ」とリザルトは後日のネットやストラバで見ることにして会場をあとにしました。短気なお坊さん!

帰宅後、ストラバでタイムを見ると39分台!お!目標達成!

しかしその後の公式リザルトでは40分をちょっと越えてました。まぁ、そういうこともあるし、みんな公平に計ってますし。順位は・・・395人中70番台!上位18%あたりにいました。

まぁまぁ目標達成!

総括です。

最初の目標設定がやや甘めというか、「このくらいはいけるんでは?」というものだったのでだいたい予想通り。

ただ、もうちょっとタイムにもこだわるべきだった。8キロ地点からもっとあげていってもよかった気がします。だいぶ脚を残してしまった感じ。コースをよく知らないのは、ここは試走できないコースですからみんな事情は同じ。余裕があるのに攻めきれなかったのが少しだけ悔やまれます。38分台は無理でも39分は現状でいけたなぁと。心拍ばかり見ていたのもアレですが、その割に心拍180後半から190近くまで上げることがないまま、なんとなく終わってしまったのがもったいない。直前の練習で心拍中心で登って成功したわけだし、今回もそのおかげで破たんのないレースをできたので、ひとまずは成功なんですが、満足には少し届かない。採点するなら75点くらいのレースでしょうか。

とは言え、悪天候でも淡々と進行して頂いたおかげで、レースを楽しめました。地元密着感、という点で言えば、コウノトリライド、若狭センチュリー、そして菰野ヒルクラのほうが、この伊吹山よりより暖かい感じはしましたが、3000人を超える大規模レースですから、仕方のない部分もあるのかもしれません。それでも最初の地点で立ってらっしゃった係りの人からは暖かい声援を頂けて有難かったですね。あのおじさん印象に残ってますね。

そんなこんなで運営の皆様と、何より家族の理解のおかげでトライさせてもらった4年ぶりのヒルクラ、ひとまず満足で終わりました。

練習ばかりで家族には迷惑をかけてしまった部分も多々あり、一度通勤帰りに佐保川で娘と妻に偶然出くわしたときに、娘が、

「あ~!また自転車乗ってるぅ~!」

と笑ったときには、通勤とは言え、複雑な気持ちがしました。自転車ばっかりで、ごめんな、と。

入園式も近いし、これからはもっと遊ぼうな。

 

 

ただ、9月にはヒルクライム大台ケ原という大会があってだな・・・。