慈眼寺 副住職ブログ

デザインR

更新がさらに滞っておりました。

5日間の五重が月に二回もありますと、そのためのスケジュール調整がやはりあります。
そこに学校の業務のテストの準備やらクラブの新入生受け入れの時期などが重なりますので、この5月は非常にタイトな日程になりました。

体調は問題ないですのでご安心を。

さて今日は自転車絡みといえば自転車絡み。しかしいつもとは一風変わった話題。実はこのネタ。ずっとずっと温めて、内緒にしておりました!

いつもお世話になっている三山木の自転車屋さんRagazzi。
レース志向のお店ではないので、基本まったり乗る人が多いお店なのですが、このたび、新規メンバーの猛烈な突き上げにより、「新ジャージを作ろう」という機運が持ち上がりました。そこでメンバーみんなでああでもない、こうでもない、とデザインを出し合いましたが、なかなかまとまりません。

何十人もいるメンバー全員が満足するものを単純に求めると、結局誰も満足しない者になる。そういう事例を今まで散々見てきた私は、大枠を決めて、あとはプロにお任せした方がいいのではないか?ということを店長に言ってみました。店長も同じ意見となり、じゃあ、誰に?という段になって、私が恐る恐る出した人選に店長も二つ返事で「それ、いいやん!だめもとで頼んでみよ!」ということに。その人物とは・・・

安田マサテルさん!

イタリアを拠点にバイククリエーターとして活躍し、2007年 イタリアのフレーム工房【ZULLO】チーフペインター、デザイナーとなる。その後数々のHandmade  Bike Showなどに作品を出展し、高評価を得る。 2010年 活動拠点を日本へ移し自らのバイクブランド”MASSO(マッソ)”を立ち上げた。またPASSONI社の2011年ユーロバイク出展の商品、広告デザインも担当した多彩な才能を持つトップクリエーターである。現在はアトリエを長野県の上伊那に移し、デザイン業以外にも、イタリア製品の輸入販売も同時に行っている。(http://www.cyclowired.jp/news/node/59626より抜粋)

ZULLO、PASSONI、NEVIと並べるだけでえぐい会社でデザイナーとして活躍されたというだけでも、日本人として異色、かつ豪華すぎる経歴ですが、実際の仕事ぶりを見るとデザイナーというか、これもうビルダーやん?いや、大工さんやん?という正体不明のさらにすごい人。

普段からフレームペイントやアトリエのさまざまなデザインを拝見させていただいて、「コレは完全に大阪発のイタリア人や!」といつもそのセンスに脱帽しまくっておりました。そもそも「デザイナー」などという職種の方々に接点がまるでない田舎者の我々には「オシャレなもん作る人」といえばもう何を置いてもこの人しか思い浮かびませんでした。

問題は、取引があるとはいえ、こんな三山木の小さいお店のお仕事、受けてくれるのか?そして、お代はいかほどなのか?という切実なところ。

一つ目の問題は、店長が頼むと、「俺でいいんスか?」という答え。

いいんス!いいんスよ!

二つ目の問題に対しても提示された金額は、プロに頼むお金としては、「そら、こんくらい要るやろ」と想定した金額の一番下あたり。あの安田さんということを考えて想定した額の遥かに下でした。本当にそういう欲のない人です。何というか、「いい仕事をしたい」という欲求以外感じない人ですね。

大喜びでメンバーに「安田さん、やってくれるって~」と言うと、みんな大喜び。「ヤバい」「もうこれでオシャレ確定」などと口々に安心し、もはや勇者さまが訪れた村人のような心境。

店長と、私を含む3人の常連が「ジャージ作成実行委員」的な立場を一任され、大枠でどんなものが欲しいのか、4人でとことん意見を出し合い、それを安田さんに見てもらって、あとはなんかこねて叩いて油で揚げたらめっちゃおいしいもんできるやろ、という雑な考えで一致しました。「このクルマのデザイン好きだからこのイメージ」「肩は非対称に」「コーポレートカラーはコレとコレ」「新入り生意気」「オッサンたち遅いで」「うるさいバカ」「店長寝るな」などと様々な意見が出まして、それらをまるごと安田さんに見てもらいました。

お忙しい安田さんにリアルタイムで時間をとってもらい、色々希望をくみ取ってもらったり、アイディアを出してもらったりして少しずつ形ができていきます。それでもこっちが漠然としてますのでなかなかすんなりとはいかず、あっちへ迷い、こっちへ迷いで安田さんにお世話をかけました。どうもデザインという作業には相当糖分が必要なようで、「ちょっと糖分補給する」を三度ほど聞いた末、安田さんがパッとだした案に、メンバー4人は一瞬で飛びつきました。

「コレいい!」

「お風呂のタイル」をイメージした図案にみんなの喧々諤々が「スッと」落ち着き、あとはもう細部を詰めるだけ。そこからさらに安田さんは加速し、「こここうしよか。」「ここは?」「ほなこうするわ」「どや」「どや」「どや」→「おそれいりました」みたいな展開で出来上がったデザインが、コレ。

基調となる濃紺は「冷静さ」、コーポレートカラーでもあるオレンジは「情熱」ただしむき出しの真っ赤ではないオレンジ。左右アシンメトリの右肩のオレンジは、機能的にも自転車走行時、後ろからの車や対向車に視認してもらいやすいメリットもあります。

先ほど言ったように格子模様は「お風呂のタイル」をイメージして安田さんがタイルを張り付けてくれたもので、そこにRagazziの文字が浮かび上がります。どうでもいいですが、疲れ目になってくると、錯覚で格子の交点に黒い点が見えてきます(笑)さらにこの模様は太ると格子が膨らんで模様が変わってしまうので、着るにはダイエット必須のオジサンに優しくないデザインでもあります。ショーツは各自好きなものをはくので今回はデザインしていません。

ここで私が店長に、もう一つおねだり。

「安田さんの・・・サインというか、そんなん入れてもらえへんかなぁ」

「それいいね!」

頼んでみると即快諾!安田さんのアトリエキノピオのロゴがココに入って・・・

キノピオロゴが入ってますますピリッとしたデザイン!みんな大満足です。

あとはジャージ会社にお願いして待つだけ。こうしてしばらく待って先日ようやく製品が仕上がりました!

それが・・・コレ!

いや~みんなで頑張った甲斐があって、ええのができた~。安田さん、本当にありがとうございました!

そんなわけでRagazzi=少年たちは、この春からこのジャージでライドに出ます。

本格的なお披露目は月末の若狭路センチュリーライド。しかし、私は仕事で断念・・・。

 

ですが、こっそり一部の過激派がお代も払わずに密かに実戦投入・・・。

その様子はまたのちほど・・・