上町トリップ
毎日毎日仕事と言いつつお金抜きのことばかりうつつを抜かし、家族ほったらかし。
アカン、アカン、俺アカン。
そう思って、ある天気がいい日、奥さんの「今日自転車乗っていいよ」の言葉の誘惑に負けず、家族3人でちょっとだけお出かけいたしました。
奥さんが前から行きたかった東京の帽子屋さんの出張展示会があるとかで、用事ばかりで行けなかったのを、急遽空いた時間に行くことに。
「場所ドコ?」
と聞くと、
「上本町やて。わかる?」
わかります。僕、高校上本町でしたから。
さっそく電車で一本。日頃の疲れで私だけ車内で居眠り。あっという間につきました。ルートも勝手知ったるもんで余裕ッス。
ついたところが・・・
なんかレンズ汚れてたのかな?画像があまりよくなくてスイマセン。
http://home.catv.ne.jp/dd/honda/
世田谷のベルレッタさんであります。
某「おしつけがましく感動を強要してきてしんどいマンガ」のせいで、「麦わら帽子?海賊?」みたいな余計なイメージがついた感がありますが、そんなことは知らぬげに、クラシカルで丁寧で涼しげで軽やかで、本当に涼風のような帽子たちであります。
造り手の方も肩の力の抜けた非常に心地よい方で、売らんかなみたいな空気はゼロ。よかったらどうぞみたいな接客は関西ではなかなか味わえませんね。私は帽子はほとんどかぶらないのですが、夏は奥さんも娘もずっと麦わら帽子。
奥さんによると「とにかく軽い!」そうで、ずっと来たかった展示会にギリギリで間に合って、ほしいものが手に入り、大喜び。
さらに帰りに偶然目に入った小さなオシャレな店を覗くと、奥さんの趣味どストライクの子供服のお店。
https://www.instagram.com/fuyuushop/
既に先客の上町マダムとそのお嬢様がいらっしゃいましたが、こういう好きなものだけ集めました!みたいなお店って、本当にいいですよね。ちょっとお高いので何も買わなかったのでありますが。
さらにこのまま帰ってはもったいないので上町エンジョイのフィニッシュに、有名なケーキ屋さんに。
大阪でチョコレートケーキ言うたらここやろ!「甘さ控えめ?ハァ?甘いもん食いたいのに控えてどないするんじゃ!濃厚上等じゃ!」みたいな一本筋が通った仁義なきカカオの宮殿、「なかたに亭」であります。
ちょっとお高いのでありますが、ケーキの有名店なんてこんなもん。奥さんと娘ははじめての来店。私は上本町っ子ですからね。ハイハイタウンの南海飯店かその横のジョナサン亭で育った子ですから。
奥さん一目ぼれの一品。バランスがいいです。濃厚なのに切れ味がいい。さすがッス。
濃厚かつスパイシーが好みの私はコイツ。お皿もいいですねぇ。
アップいきますか?たまりませんねぇ。
高いんですけど、同じくらい出してしょうもない味のケーキ、デパ地下に掃いて捨てるほどありますからね。あまおう使ったら満足やろ?みたいな安易な発想のケーキとか、しょうもないです。
奥さんもおいしい!おいしい!と大満足で、昼から移動時間合わせて3時間くらいのお出かけでしたが、よいものばかりに囲まれて優雅なひととき。お昼に家でレトルトつけ麺食べたとは思えない優雅さ!さすが上町台地!タワマンバンバン増えてて、歌舞伎座もなんかオシャレだし、昔と随分雰囲気変わりました。
正直高校時代の上本町は灰色一色。何一つ楽しい思い出なんかない町です。
あの3年間は、「何一つ面白くない学校だ。でも、ここを選んだのは俺だ。」という事実とただただ向き合うためだけの3年間。
お下品な言葉でありますが、「自分のケツを自分でふく」ということを、恥ずかしながらはじめて意識した日々だったのかもしれません。もちろん比喩ですよ!
この日思ったんですけどね。
なんて言いますかね。
「いいお店」って、何だろうなと思うわけです。
「何か買いたい店」じゃないと思うんです。そうだとすれば常に新しい何かを仕入れていなければならない。そういうことを目指せば、そのお店は絶対にダメになる。真新しさを求めても、限界が必ず来る。
そうじゃない。
いつ行っても、同じものがある店だと思うんです。
同じなのに、ずっと魅入られてしまう何かがある場所。
いつも会いたくなる人。
気が付けばいつでも選んでしまうモノ。
そういうものが待ってる穏やかな場所に私は行きたいんですよね。
狭くても落ち着いた部屋に、美しいクロモリやマンモリのフレームが飾ってあって、ついついそれを見ながら「いいねぇコレ」とか言いながら、おいしいコーヒーを飲む。
そんなお店があったら、何屋さんやねんソレ!とか思いますけど、通い詰めるなぁ。意味もなく。
待っててもそんなもんできないし、お寺で営業しようかな。事業税かかるのかなその場合。・・・イカンイカン無粋無粋!
そんなことを考えたくなる3時間の上町トリップでありました。