自転車乗りの方からお便り
先日、突然知らない方からメッセージを頂き、「はて?誰かしら」と恐る恐る確認したところ、「自転車乗りで、いつも楽しく読んでいます。趣味がバッチリ同じで、その理由は、この画像で分かると思います。」という内容でした。ありがたいです。励みになります。
それにしても、「見れば分かる」って、どんな画像なのかしら・・・
オーマイガー!
なんとコレ、ご夫婦の自転車らしいのですが・・・。
左はcastiなのはもちろん、車種はINOX RS!なんつーニッチなフレーム!わざわざcasati選ぶだけで濃いのにそこでINOXて!パーツ構成もチネリでバッチリまとめて、ホイールはvisionのディープリムのおまけにクリンチャー!わざとニッチなものを選んでいるとしか思えないッ!(笑)どうでもいいけどペダルはX-pressoかな?ブルーとむき出しの金属色がたまりませんね。
さらに隣の奥様の自転車も濃い。コレはあの工房までお出かけしたマッキサイクル!ブルーでお揃いですね。クランクはスギノ?でしょうか。奥様でコレってどんだけ濃いんだ。奥さんってだいたいビアンキ乗ってるもんじゃないのかッ。
濃いです。本当に濃い変態(失礼)スティール夫婦。私が興味を持ったモノをことごとく持ってらっしゃる。こんな人いるんだなぁ。でも世の中にはもっともっとすごいド変態いるんでしょうなぁ。旦那sevenで奥さんpassoniとか。
昨日もいい天気で、私仕事してたんですが、自転車乗ってらっしゃる方がいっぱい。ですがあんなに自転車を見ても、スティールに乗ってる人って、だいたい10%くらいでしょうか。しかもそのうち半分以上はスティールが好き、というより、とりあえず安価なものが欲しいから選んだという「本当はカーボンが乗りたい人」「仕方なくクロモリの人」。さらに残りの5%のクロモリ好きのほとんどが、コルナゴマスター、デローザネオプリマート、チネリスーパーコルサのどれかを選んでしまうので、これ以外のクロモリ好きってもうおそらく1%以下。下手したら小数点第2位の世界になってくるのではないでしょうか。
それだけに路上で同じ趣味の方を見かけようものなら嬉しくって思わず声をかけたくなるくらい。ネットですらなかなかお目にかかれません。私なんぞにわざわざお声がけしていただくのは恥ずかしい限りですが、気持ちは超分かります。滅多にいねぇもんなー。
しかしINOX・・・。
ご存じでない方のために不肖副住職がご説明させていただきますと、INOXとは、英語で言う「ステンレス」のこと。フランス語のinoxydable「酸化されない」の頭文字をとってINOXです。
ステンレスはステンレス鋼と言いまして、基本的には鉄の合金の一種です。以前ここでもラレーのCRSのときにご紹介しましたね。ステンレスのフレームを構成する一本一本の鋼管=チューブで一番?有名なのがコロンバスのXCr。そのものズバリの名前のフレームがチネリにありますが、これはチネリがコロンバス傘下にあるため、安価で供給されているんですね。
このXCrを使って、casatiが作ったのが先ほどのINOX。トマジーニもX-Fireという渋いフレームがあります。老舗二店があのチューブをどう仕上げるのか興味ありますよね。もちろんチネリのXCrも面白い。ステンレスチューブといえば他にもレイノルズ953も有名で、ミュラーの自転車で私これも試乗したことあります。硬かったですね。
そもそもステンレスって軽くて硬くてレース向き、ただしカーボンまでは軽くないうえに高い溶接技術が必要なため「流し台」のイメージと裏腹にカーボンより高価!正直誰得?という困ったところもありまして、わざわざコレを選ぶのって、よほどの金属好きか、他にカーボンなどを所有してて違うのを味わいたいっていう余裕の好事家になります。乗ってみればカーボンにはない魅力がいっぱいあるんですけど、なかなかここにたどり着かない、たどり着けない(笑)
しかし大丈夫!そんな悩みを解決するためにコロンバスが開発したのが、コロンバスspiritです。
実は確かな筋から得た情報によりますと、「XCrできた!ええのできた!アカン!高い!」と焦ったコロンバスが、「XCrの性能をクロモリで!」という無茶な要求をして、某工房にお願い。こうしてできたのがコロンバスspiritだそうです。似た性格のクロモリといえばほかにカイセイ8630r、あとはデダチャイにもありますね。レイノルズ853もいいですね。ミュラーで乗った中で一番よかったですね。なんでBB30なんだよっていう巨大なツッコミどころが難点でしたが・・・。
このへんのフレームは旬が短い、かもしれないという難点を除けば、軽くて、でも金属らしい粘りというか面白い振動があって乗るのが楽しくて仕方ないと思います。「旬が短い」というのは、「鉄がヘタってしまう」というよく言われるアレですが、正直競輪選手でもないし、ただのホビーユーザーだし、42歳だし、あと何年乗れるのよって考えたらなぁ(笑)関係ないかもしれないです。今度ものすごい事情通と飲む機会を頂いたので聞いてみたいと思います。
実はこのコロンバスspiritを比較的安価に味わえるのがGIOSにバッチリありまして、ラグ溶接のCOMPACT PROとTig溶接のSTEEL MASTER。どっちも見た目はジオスブルー一色なので、フルボだかヴィンテージだかチタニオだか、すれ違い様に識別できるのはよほどのGIOS通に限られるわけですが、だからこそ、ブランドに踊らされない、ホンモノの金属好きの変態(褒めてる)の選ぶ通な一台、ということになります。
いやーでもやっぱりさすがにせっかくの美人なのに地味になりすぎやろ!とか思うセコい私なんかは、諸般の事情で日本販売の名前が変更されたcasatiのesspressoとか、乗りたいわぁ。ホンマ乗りたいわぁ。死ぬまでに、いつか乗りたいけど、どうせ乗るならまだ走れるうちに…。もう手に入ったらさんざん乗り倒して、普段は今の愛車と一緒に飾って駐車場のところにカフェを開いて、客ゼロでも毎日眺めながら座っていたいなぁ。もうこうなったらアガリですわ。アガリの自転車。人生もアガリ。セミリタイヤじゃない、リタイヤ。出家。したいなぁ。出家。アレ?