おおばくち、身ぐるみ脱いで、すってんてん。
梅雨のなかの晴天。天気も良い日が続きます。
ちょっとそろそろ乗りたいなというタイミングでポカッと昼から空きができました。ラッキー!自転車です。
前日からどこに行くか吟味。しかし京都グルメライドみたいなのはもう飽きたしなぁ。(近日掲載予定)
なまった身体をいじめるために山?それもいつでもできるしなぁ。11時から空いてるしなぁ。でも近場はたいてい行きたいとこ行ったしなぁ。このへんの峠はだいたい制覇したしなぁ。あ・・・・・あそこは・・・。いや、でも・・・。
・・・・・・よし。行くか?あそこ、行くか?
そう決めて前日から情報収集。うわぁ~。きっついなぁ。その日はそのまま眠り、夢でうなされる結果となりました。
翌日、同僚の先生から「午後から空きでしょ?どうするの?私、映画行くんですよ」というお言葉。
「僕は、自転車で峠登ります。」
「ええ~それって登るだけでしょ?しんどくない?しんどいだけでしょ?何が楽しいの?」
「まぁしんどいッスけど、登ったあとの充実感?ですかね?」
こんなカッコいいことを、言ってました・・・。
こうして仕事を終え、阪奈道路を越えて大阪へ。いつもながら車が多いですが、生駒の山もしょっちゅう越えてるのでどうってことねぇな、と思いつつあっという間に下山。そのまま旧外環を山沿いに進み・・・
まずは平岡神社で必勝祈願。今日の勝負は~並じゃないぜ~♪
そもそも、額田の駅まで上がる坂がすでになかなかの斜度で「おいおい、もしかして、始まってる???」と思うほど。
言うても結構ワタシ、登ってきました。裏大正池、犬打峠にはじまり、府道7号、海住山寺、大台ケ原、善峯寺、寒霞渓西側、伊吹山。タイムも伸びた。レースも出た。
ただ、いっこだけ行ってない坂があった。
そう。ココです。西の横綱、というか日本の横綱じゃないのでしょうか。
暗峠。
「くらがりとうげ」と読みます。恐ろしい。
この〇のマークのコンクリート舗装、みなさんご存じ、要注意の印です。そして、このマークが途切れることなく続きます。
前々から存在は知っていました。もちろんです。ただ、車で通った経験から「ここだけはヤバい」という認識。
最大斜度30%とも40%とも言われる、超激坂です。何がアカンって車が通る通る。なぜに通る。離合の難しい狭い場所(っていうか広いとこなんてないけど)では、対自転車すらギリギリ。車も勢いをつけないと登れないのでスピードを出す。そして壁のようなのっぺりした斜面がひたすら続く。一個一個がでかいまな板のような坂が九十九折になっているという豪華な激坂です。私が登ることを想像しただけで前日からうなされてしまうレベル。
「コレを登ることが、果たしてロードバイクとして評価されるべきことなのか?」
という疑問が起きるほどの激坂、かつ国道。「酷道」といわれるその道を、ついにチャレンジ。
まず一発目、一方通行(自転車通行可)の細い道を登りますが、最初から既にキツい。この細道を抜けると、さらに斜度が上がって、一息つくとさらにもう一段階斜度が上がります。
あまりの上がりっぷりに、いきなり心が怯んで足がついてしましました!なんつー情けなさ!
あまりに情けないので、いったんスタート地点に戻って再チャレンジ!
戻る途中にランドナー乗りの若い子が「なんだ、しっぽ巻いて逃げるのかお前」と私には感じられた目で下る私を見ます。そんな被害妄想!
戻って再びチャレンジ!するとあっという間に押しているランドナー青年!分かるで!
さっき止まったところも何とかクリア。既に前輪がやや浮いています。ヤバい。これはヤバい。
そしてここで有名な斜めに道路を横切る、深い深い谷のような排水溝に遭遇!猫なら住めるレベルで深い!なんで!
排水溝を最新の注意で直角に乗り越え、法照寺に。曲がっても曲がっても壁のようなまな板!あまりのきつさに背筋が限界。いったん横道で旋回して足を付かないように休むテクがネットであったので、ぐるぐる回ります。しかし、これがアカンかった。
何度もやっているちに、車が焦げ臭い臭いをさせながら登っていくのが見えて、次に道に復帰するのが怖い。それほどでもない斜面がどんどん急に見えてくる。コレは一気に行った方がいい!と覚悟を決め、さらにGO!
めざせ観音寺!観音寺!かんの・・・と曲がったところで草むらの陰からまたまな板!
アカン・・・もうアカン!アカンといったらアカーン!コレはアカンやつ!
足を付いてしまいました・・・。
これ、まだ序盤ちゃうの?一番きついとこ行ってないやん・・・。
もう戻るのもイヤ。仕方なく今後のために道を体感するべく、押して歩きます。この敗北感・・・。
途中そんな私をまたもや焦げ臭い臭いをさせて追い抜いていく、プリウス。
「エコモードって、知ってますかー」
と言いたくなるような酷使ぶり。
とはいえ。
ああ、負けた。本当に負けた。
言い訳のしようもないくらいに負けた。惨敗や・・・。いけると思った俺が甘かったのか?心の問題なのか?気合が足りなかったのか?
自問自答して見上げた先にはまた壁、壁。きっとさっきのをやり過ごせても、第3波、第4派、第5波と続々やってくるまな板。第1回超人オリンピックでこんなのあった気が・・・。コレはもう一回やってもアカンと思う・・・。
そしてついに現れたおそらく最大斜度の坂。
伝わるかなぁ?伝わらないだろうなぁ~。そもそも自転車ココに置くのも大変ですから。ここを正面から見上げる絶望感ったら!!!
ようやく勾配が緩むと、のどかな棚田。ここまでして日本人はコメを作るのだという精神力に気が遠くなります。
敗北感たっぷりにゴール地点でパチリ。
隣りには安政六年の石碑。安政の大獄の翌年。
奈良側下りの田園風景。
総括です。
今までの峠と、全然違いました。
別次元です。
たとえるなら長嶋巨人の「ソレ、反則やろ!」という史上最強打線。よその峠でも部分的にコレに匹敵する斜度は余裕であります。ただし、一回くらい。もっと短距離で。道幅も広い。言うなれば4番ばかりが延々続くのであります。
今回私は一番仁志、二番清水に連続ホームランで既にゲームセットだったわけですが、このあともローズ、高橋、小久保、ペタジーニ、阿部、トドメに二岡ですから、いったいどこで休めばいいんだ!というラインナップです。
しかも坂本体に集中したいのに、車がしょっちゅうくる感じは、往年の西武打線のようでもあり。秋山清原デストラーデを前にして辻がチョコチョコ離塁するかのごとき凶悪さ。しかし今回は言い訳はナシ。たぶん暗峠としては理想的に車が少ない時間帯でした。今日しかない!という日にケチョンケチョンにやられた感じ。
以前海住山寺で足をついたときは、坂に向かって「バカヤロー!」と怒っていましたが、今回は全く逆。
「すいませんすいません。登ってすいません。もう許してすいません・・・」
という気分。
一旦心が折れると、もう無理。本来は登れるような斜度すらもう怖くてクリートをはめられない。殴られ過ぎて、手をあげられただけで怯える状態。完全に心を砕かれて捨て猫のように震えながら自転車を押す始末・・・。
ここを登るのは単純な登坂力というよりは、MTBで下るときのような、向こう見ずな思い切りが必要かと感じます。自分に一番足りない部分。あと、体重の軽さだけではキツくて、上半身の持久力もいるのではないでしょうか。もう1回チャレンジして最大斜度のところまで、その次で運が良ければクリアできそうな気もしますが、それまでに心を整えるのが大変っぽい(笑)今度もしチャレンジするときがあっても、自走でこなくてとりあえず電車で輪行して額田で下りよう、と心に誓う副住職でありました。
いやー負けた!負けた!ウルフ金串のように、カーロスリベラのようにやられた。ええ大人になってこんなに見事に負ける気分を味わうのってなかなかないッス。ボロッボロ!ここまできたらある意味すがすがしいッス!
また一からヤリナオシャス!オネガシャス!!