常連論
ちょっとデカルト風のタイトルにしてみましたが、そんなに深い研究でも何でもありません。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170729-00000018-pseven-life&pos=2
スナック論で大真面目に論文やら研究会が面白いなと思っただけですが、まぁ、最近大学も色々ありまして、こうやってお金の出るところ探して色々目立ったことやらないとクビになるんですよね。
個人的にはそもそもお酒を愉しく飲む器量がないので、スナックもバーもクラブもラウンジも違いが分からないし、行ったこともないのですが、でも、この年になってちょっとわかる部分もあります。お坊さんが分かってたらアカンやろというのは置いておいて。
何が「分かる」かと言いますと、別にええかっこしたいとか、若いおねえさんと懇ろになりたいとか、そういう欲望ではなく、敢えてキャラの濃いオバサンが仕切っている場末っぽいところで、いろんな人に紛れて日々のストレスを抜きたい、という需要は、やっぱり根強いなぁということ。
人間関係は濃すぎず、薄すぎず。ここがポイントだと思いますね。
職場や年収格差はまぁいったん置いておいて、だが、「何となく」は想像がつくような、そういう人と、「このへんに縁がある」というゆるい地域的繋がりでもって集まって、家でもない、職場でもない場所で、適度に色気のある雰囲気を楽しむ。
実におっさん天国と言いますか。そんな場所に縁がないですけど、あったら楽しいだろうな、というのは分かりますねぇ。
田舎の方がスナック多いとか、選挙前にはみんな来なくなるとかリアルすぎて笑ってしまいますね。こんなあるある集めてサントリーからカネもらえるのも羨ましいけど、ヤフーニュースに載ったらもう勝ちだよなぁ。この人の本業の法哲学では一生載らないだろうし。
お酒飲まないのでスナックは分からないのですが、自転車屋も似たところあると思うんですよね。
色んな仕事の人が客として集まって、職場とか、地位とか、なんとなくは薄々分かるんですけど、まぁそこは敢えて突っ込まない。
中には偉いさんとかいるんですけど、自転車の世界だから、速い奴が偉い。学生に社長がペコペコしてるみたいな。でも一番遅い社長のパーツが一番高いとか。
スナックや自転車屋の「常連」とか「とりまき」とか。
少し前まで「悪」とされてきた昭和的価値観の塊みたいなダサい繋がりが、実はいま一番切実に求められているんではないかと思います。
大都会ではもっと洗練されて、事務的で、人がどんどん動いて常に「価値のある」とされるものが「消費」されていくわけで。常に新しくて清潔でカッコイイんだけど、身の丈に合ってないし、実は全然楽しくない。
人間はもっとダサくて、ローカルで、臭くて、汚くて、おんなじところでおんなじことをグダグダやってたいもんなんだ。
そういうのが、固定し過ぎると、これまたただのムラ社会なんですが。「準公共圏」という言葉も先ほどの記事にありましたが、半分オフィシャルで半分パーソナル、結局酒でグダグダでパーソナル、というこのオチが実に人間臭い。
スナックが政治と絡むのもよく分かります。「政策」てよく連呼する人ほど何も変えられない。結局は政治って「利害調整」ですから。それ以外の何物でもない。利害を調整するための政策なので、その政策の整合性だけ追い求めると、「法哲学」みたいな誰も興味がないものができあがります(笑)(法学部の授業もけっこう受けたんですけど、面白いモノもいっぱいあるんですけどね。)
結局目の前の人間について、どれだけその本質を知るか、だと思います。
職業や地位を離れて、信頼できるか、面白いか、そういうことを知ることができるし、知らないこともできる。その空間の中だけは、「世間」と半分繋がってて半分閉じているような、そういう中途半端な半開きのだらしなさが、ホッとすると同時に、上手く使えば有効な情報収集の場所なんだろうなぁと思います。「上手く使ったろう感」丸出しだと嫌われますけどね。
その点お寺なんかはちょっと開くと政治臭くなりすぎ、閉じると完全に密室になるので難しいですね。昔なんかはお寺ってもうものすごい政治の舞台でもありまして、昔の話聞いたら本当に面白いです。普通に「裏の選対本部」だったお寺とかザラですからね。田中角栄とかもっと前の時代の話ですけど。もちろん江戸時代なんか完全に農村管理のシステムだったわけですから当然の話なんですが。「お寺と政治」の話なんか、突っ込んだら面白いでしょうけど、言えない話多すぎてダメですね(笑)
まぁとにかく、この昭和的な「常連」というどっちかというとダメダメで意識低い感じのダサくてゆるい連帯の良さを再確認する時代に来てるんじゃないでしょうか。言うほど甘いもんでもなくって、ある程度以上の「ルール」みたいなものが、どのグループでも歴然とありますし。やっぱり常に連なっていようとしますと、長い付き合いですから、人間性がバッチリ判断されてしまいますからね。「常連」って、なかなか厳しい集団でもあります。まぁそこがダサいといいますか、若者にとっつきにくいところではあるんですが。
でもダサくてダメな集団って、中にいると居心地いいんですよね~。部屋着にしている古いTシャツのようなゆるさ、居心地の良さ。こういうの、再確認したほうがいいですよ。スナックのほうはサントリーが保護してるみたいなんで、「自転車屋の常連」を「昭和遺産」とかに指定して保護してほしいッス!ブリヂストン&シマノさん、お願いします!