デザインR‐2
先日、いつもの自転車屋さんの仲間の早い忘年会がありました。ちょっと年末に忙しい仕事の方が参加できるようにこの時期に。
しかし今回はただの忘年会ではなく、ビッグな会になりました。
なんと春のジャージ完成記念宴会にも来てくださったアトリエキノピオの安田さんがまたも遠路はるばる長野のアトリエから宴会に参加!
今回は店長がオーダーしたフレームを持ってきて下さいました!
今年春のジャージお披露目宴会並びの様子
https://www.nara-jigenji.com/diary/6454/
フレームはもちろん、安田さんが修業したイタリアのZullo。モデルは軽量現代クロモリ、pantarei。
pantareiについては以前ここでも紹介済。
https://www.nara-jigenji.com/diary/6624/
場所はいつものお店。毎回信じられないくらい美味しい料理を振舞ってくださる向島「おお乃」さん。
渋滞のため少し遅れてやってきたMASSOこと安田さん。しばらく楽しく歓談したのち、
「フレーム、見る?」
おおおおおおおおおおおおおおおきたあああああああああああ!
Zulloさんが作り上げ、イタリアから空輸されたものを、安田さんが店長のイメージを聞いて塗装。イタリアからやってきた段ボールを開けると、緩衝材に包まれたなんか紺色の物体・・・。焦らすやないか・・・。
そしてお店がおっさんの歓喜の声で震える中、現れたのが・・・
コレや!!!
見てこの店長の鼻の下。最低でしょ。Feですよ。鉄の棒にこんな顔なってるおっさん。そしてそれを撮影するこれまたおっさん。
最高やろ。
最高やろ!とサイコ野郎!は紙一重ですね!
ジャージのデザインを踏まえてはいるんですが、解釈の仕方がオシャレ。そのまんまレンガの格子模様を使ったりはしていない。さりげなーくグラデーションで表されたこのセンス。またベースの色がいい。まずこの濃紺。落ち着いた深みのあるブルーであると同時に、透明感もある。深い湖のような、夕暮れ時の星がもう見え始めている空のような、濃紺。むしろ藍色と言いなおしたい、出藍の誉の「藍色」。
当然ホワイトの部分もただののっぺりした白ではありません。塗り重ねの順番から悩みに悩んだパールのような重層的な深さと、これまた不思議な透け感もある複雑な白。さきほどが夕暮れならこちらは朝日が差すような輝き。その真ん中で陽気に存在感を主張するオレンジ。
手のひらでも包み込めるような細い鉄の棒に、さながら世界が見えるような作品です。
「太陽光のもとで見たい!」
とおっさんたちが涎をおさえて呟く出来栄え。ほしい。こんなん欲しい!
特に大騒ぎしたわけでも暴飲暴食したわけでもないのに、フレームのせいですっかり疲れ切った我々は大満足でその日解散。本当においしい料理だったのですが、途中からあんまりメニューを覚えていないほど。今度、平常心で食べに行きます。
そんなわけで、普段あり得ないくらいに速い仕事でとりあえず形にしてみた店長。
やっぱりジャージと合うね!
意外にも安田さんも「ジャージとのトータルデザインは、ラガッツィが初。夢がかなった」とのこと。初物!頂きました!
さらに翌日か翌々日くらいには仮組もだいたい済み、太陽光のもとで拝ませて頂きました!
いいですねぇ。上品さがありますねぇ。白のところの艶めかしさなんかcasatiを思わせます。
エンブレムやロゴの文字の部分は金色・・・じゃないんです。「シャンパンゴールド」!オッシャレ~!
これが搭乗者の見る景色なんですねぇ。いいですねぇ~!
もちろんアトリエキノピオ&Massoのサイン。
さらに当然ズッロさんのサインもセンスよく!
いや~ほんっとに夢のようなバイクが完成です。
今回は安田さんにわがままをいって、「不本意ながら」(笑)Di2対応フレームにして頂いております。店長Di2押しですからね。
ホントにもう最高のフレームなんで、これ以上なんも言う必要ないのですが、野暮を承知で重量の話も。
6870Di2に写真のレッドウィンドの状態で7.9kg。手組のカーボンリムのホイール(チューブラー)で7.4kg。
カーボンのエントリーモデルがだいたい8kgですので、ミドルグレードカーボン並みの重量のメイドインイタリアのフルオーダーフレーム(クリスキングヘッドパーツ付き)をこの美麗な塗装でオーダーできて、最新クロモリの乗り味を楽しめるのだから、コレ、とんでもねぇよ!
しかもまだまだ元気な安田さんの「剥がれたらまた塗ったらええやん!」保証まであるわけですから。こんな贅沢なフレーム、ある???
いや~全然儲かる気配もなく、ママチャリのパンク修理ばっかりしてる零細商店ですが、夢があるわぁ。ここには夢がある。
ホンモノに出会える夢があるわぁ~。
しかも他人の夢じゃあ、ないんです。他人が乗って速いとか、ツールで優勝とかじゃなく、自分がほしい、自分が乗りたいものに乗る夢があるんやわ。そんな場所、世の中にどんだけあるんやろか。