データ依存の病
先日、ガーミンを充電しようとすると、なぜか充電モードにならない。
なぜ?と調べてもよくわからない。店長にもっていくと、「単子、折れてるやん」。
ええええ~!?
ホンマや。USB単子折れてる。なんかうまく入らなくて無理矢理入れたんやろか。何やってんねん俺。
メーカー修理に出しましたが、おそらくは新品で帰ってくる予想。しかしいいことばかりではなく、レザインのサイコンが新品で買えちゃうくらいのお金がかかりそうです。ふうううう。
金銭的ダメージも大きいですが、サイコンのない生活がつらい。その日は結構乗れる日だったのに、急に乗る気が失せてしまいました。情けない!データがでなけりゃ、自転車乗れないのか。本末転倒や!
自転車乗るのが好きだと思ってたのに、私はもしや、ウェブ上に「これだけの距離をこれだけのスピードで走った」とあげたいだけの人だったのか。なんだそれは。インスタ映えか。40過ぎて承認欲求の塊か!いいねがほしくて乗ってんのか!
なんたる形骸化。なんたるデータ依存。最初は乗るだけで楽しかったのに。サイコンも最初は「ケイデンスってナニ?」って感じだったのに。なぜこうなった。なんでや。
当然帰路はノーサイコンで。これがまた変な感覚。速度もわからない。ケイデンスも心拍もわからない。まぁ、だいたいは感覚でわかるのだけれど。頑張ったり、サボったりする基準がない。この不安さ。ナニコレ。いまやあらゆる道にセグメントが設定され、そこを通った人間は、GPSさえつけていれば、自動的にタイムを計られ、ランキングづけられています。それが、ない・・・。自転車という孤独な運動にはこの自動ランキングが実はけっこうなモチベーションになっていたのだな、と実感。
その後、スマホもストラバアプリ単独でログが十分取れることが判明し、事後にはデータが分かるようになりました。それでもログを取っちゃうこの執着。おそろしい。ただ、GPSの通信料も、ネット閲覧なんかよりよっぽど低く、微々たるもの。1、2時間の運動なら、数十メガ。すごいなストラバ。
とはいえリアルタイムスピードや距離などの情報を見るには、スマホホルダーなど必要になります。そこまではしたくないし、そのうちガーミンも帰ってくるので、しばらくはスマホを背中にいれて事後にログを見るだけにすることにします。ちなみにはじめてジョギングにも取り入れましたが、1キロごとのペースまで出て、めちゃくちゃ高性能。移動を止めると自動でストップとかすごすぎ。ついいつもより頑張って走ってしまい、筋肉痛がすごいです。
そして本日。夕方奥山の練習を、サイコンなしで練習実行。
すぐにまた悲しい自分の行為に気づきます。
見てまう。
サイコンの場所を。そこにはホルダーしかないのに。
もう、サイコンはないんやで!と言い聞かせて、必死に登る。きつくなる。
また見てまう。
いつでもさがしているよ。どっかに君の姿を。交差点でも夢の中でも。こんなとこにいるはずもないのに!
情けない!サイコンなしでは、峠も登れんのか!サイコンはなんも助けてくれへんで!登るのは己の脚やろ!
そう思いなおし、前を向きます。
前を向く。
その、当たり前のことを、自分はしていなかったことに気づきます。もちろん安全確認はします。基本は前を向きます。でも何かというとチラチラ、チラチラ。時速何キロ?心拍いくら?ケイデンスは?
気にしてもしゃあないのであります。調子悪かったら遅いのであります。心拍上がらないときは上がらないのであります。もちろんデータは重要で、トレーニングの指標になります。なりました。データが集まれば集まるほど、トレーニングの方法や、調子の整え方の参考になります。とはいえ、実際走るときには走ること自体に集中しないと。どうもそのへん、本末転倒だったのかもしれないなぁ。
前を向いたら、なんだか景色も違って見えてきました。もうこんなに秋なんだなぁ、と。
もちろんサイコンがあっても景色は見ていたのですが、いつもそこに情報がカットインする。
わぁ綺麗な川だなぁ。(30キロ出てるな。)紅葉はもうちょっとかなぁ。(斜度結構あるな)
こんな具合に、体験の純粋さが、失われていた気がする。
昔、娘が北海道から携帯で写真を送ってきたときに「写真なんて送らなくていいから、ブラウン管じゃわからない景色を見ろ」などと今お思えばこっぱずかしいダイヤモンドなお説教をしたことがありますが、そんな私が今やデータ人間。食事中に新聞ばっかり見るオジサンか。電子カルテばっかり見て患者を見ない医者か。
そう思うと、今日は久しぶりにちゃんと自転車に乗れた気がします。
帰宅後タイムを見たら、困ったことにまぁまぁよかった(笑)。とりあえずサイコンのあった数日前よりは30秒早い。データ見てる間に集中しろやってことですね。バドミントンじゃなんのデータも使ってないもんな。
やっぱりそのへん自転車って特殊なんですよね。ホント機材スポーツ。データスポーツ。たかがホビーライダーでもやれサイコン、やれパワーメーター、やれFTP値だの。要らん要らん。とりあえず俺には要らん(笑)
とにかく数値化できるデータが多いから、体験の共有もしやすい。だから自転車はブログのネタになりやすい。機材の話、データの話、行き先の話、行き先でのグルメの話。自転車がSNS全盛の時代に流行したのは必然だなと思わせますね。バドミントンなんてどこまでいっても個人対個人ですから。そして個人の中の感覚ですから。もちろん、身体能力の数値化とか、フォーム解析とか、最先端ではやってると思いますが、すくなくとも普通のにーちゃんやおっさんはやってない。やるはずもない。
だから頭でっかちになりやすいんでしょうなぁ。この趣味。でもまぁ、わかったようなわからんような話をあれやこれやとするネタがあって、楽しいとも言えるわけですが。
そういう体験の数値化とか、追体験とか、自転車下りた後の楽しみもいっぱいあるのはいいんだけど、乗ってるときの純粋さをもっと楽しむために、敢えてのサイコン外しとか、いいかもしれないですね。カバーしちゃうとか。
サイコンつけといて、カバーとか、ますます何やってんねんお前、って感じ。お粗末!