慈眼寺 副住職ブログ

日本のスポーツ用品メーカー考

俺はミズノ派

以前も書いたことがありますが、副住職、バドミントンシューズではもうずっとミズノ派。

たまにはバドミントンの道具の話を

ヨネックスは振動吸収に着目し過ぎて、底が厚いような感覚があり、個人的には足首を捻ってしまいそうな感覚、ただの感覚ですが、それがあります。(アシックスバードラッシングはもっと苦手)それに比べてミズノはヨネックス派からすると、底が薄くて「板」のように感じるとか。でもそこが私にはよくて、足の裏で地面を「掴む」ような感覚がすごく好きです。

知らん間に絶滅危惧種

で、ずっと惚れ続けているミズノシューズ、最近どうもおかしい。
この前愛用のウェーブファングRX2から、新作のウェーブファングXT3に乗り換えたところ、なんかおかしい。足首が怖い!この感覚は・・・YONEXや!!!

YONEXそっくりの厚底振動吸収モデルじゃあないか。なんでこんなことに!?すぐに怖くなってこの靴の使用をやめ、へたってきたRX2に戻してしまいました。お店の人に確認すると、「あ、ミズノいま、ほとんどそんな感じなんですよ」とのこと!

生徒と被るから手を出していなかったウェーブファングSSもヨネックス型!と、いうことは、ミズノ伝統の履き心地は・・・

「ウェーブファングプロとRX2だけですね。」

なんと!と驚いているうちに、RXが廃盤に!なんてこった!知らぬ間に絶滅危惧種!

日本のスポーツ用品界

ヨネックスのシェア独占へのあくなき努力によって、川下、つまり学校の部活動にガンガン浸透させ「ヨネックスの履き心地=バドミントンシューズ」という図式を刷り込ませることに成功した模様。ミズノもその流れに追従せざるを得ず、売れるために「ヨネックス風」シューズを増やしていく情けない事態になっている模様です。そういえばこれと同じような事態を以前自転車で・・・。

カンパがシマノに追従してクランクを4アームにしたのと全く同じ図式。

マスタークロスで一世を風靡したミズノが何と情けない。数年前から、シューズの履き口の材質が極端に悪くなり、毛羽立つようになったときから怪しいなと思っていたけど・・・。

そんなことを考えて、「そういえば、スポーツメーカーのシェアって、どうなってんの?」と思って、調べてみたところ、ものすごく興味深いデータに出会いました。以下、すべて業界動向search.comさん(https://gyokai-search.com/3-sport-maker.html)からの引用になります。

スポーツ用品業界 売上高&シェアランキング

  企業名 売上高(億円) シェア
1 アシックス 4,284 38.8
2 ミズノ 1,960 17.7
3 デサント 1,357 12.3
4 グローブライド 790 7.2
5 ダンロップスポーツ 781 7.1
6 シマノ 642 5.8
7 ゴールドウィン 597 5.4
8 ヨネックス 541 4.9
9 遠藤製作所 43 0.4
10 グラファイトデザイン 27 0.2

想像以上にアシックスがすごい!アシックスは世界ランキングでも4位に入っており、これはもう完全にナショナルメーカー!
と、いっても、世界1位のナイキの10分の1くらいなのですが。
デサントが意外に高いのですが、野球関係に強いのと水泳のarenaもココ。さらに伊藤忠がらみで商社っぽいライセンス商売も得意で、ルコックやアンブロもココが窓口。さらに最近は水沢ダウンなんかでスポーツに縛られない活躍。
グローブライドは釣り具最大手であり、テニスのプリンス、自転車のコラテック、フォーカス、ボッテキアの代理店。まぁこのクラスは単なるスポーツメーカーというより、商社的な仕事もしてますよね。

シマノは6位!自転車界のインテルと呼ばれる割には下位だな、と思ったのですが、実はあとでこの会社の恐ろしさがわかるデータがあります。

ゴールドウィンはなんといっても今流行りまくってるノースフェース他アウトドア関連のライセンス商売がデカい!ミズノと決裂した水着のSPEEDOもココですし、ラグビーのカンタベリーもココ。自転車関連でもよく目にする会社です。

そしてようやくでてくるヨネックス!バドミントン界のガリバーも、日本全体ではシェア5%以下!とはいえここもシマノと同じく、見方を変えるとスゴイ。

この8位の壁、というのがランキングからははっきり見て取れます。9位以下とは10倍以上の差なんですね。アシックス、ミズノ、デサントの御三家、さらに売り上げ3ケタのいわば「神8」って感じでしょうか。10位にあのグラファイトデザインがでてくるところが、自転車好きには物悲しい思い出が・・・。

シマノ怖い。ミズノヤバい。

さてこの業界動向search.comさん。何がスゴイって、同じランキングでも、クリックするだけで経常利益や利益率、従業員数や平均年収など、好きな要素でランキングを見ることができます。コレはいい!では、経常利益でランキングを見直します。

スポーツ用品業界 経常利益ランキング (平成27-28年)

  企業名 経常利益
1 シマノ 1,011
2 アシックス 225
3 デサント 110
4 ゴールドウィン 41
5 ヨネックス 29
6 グローブライド 28
7 ミズノ 27
8 ダンロップスポーツ 18
9 遠藤製作所 8.9
10 グラファイトデザイン 0.4
11 マルマン 0.3

シマノ強烈!

圧倒的すぎる!世界でのシェアが強烈ですからね。インテル入ってる。シマノ漕いでるッ!

しかし想像以上にすごかったです。そしてこうやってみると、ヨネックスが一気に上がってきて、ミズノがヤバいくらいに下がっています。ちなみにミズノは従業員数だけはダントツのトップ!ミズノ関係者には申し訳ないですが、「手広くやって、大きなお金が出入りして、手元にはほとんど残ってない」という状態ですね。利益率でもよく似た結果になります。

バドミントンシューズで感じたミズノの苦境がハッキリデータでも示された気がします。こんなん一介のお坊さんにどうこう言われたくないと思いますが。すいません。畑違いなので気軽です。

さらに下世話なはなし

ついでに平均年収なんてデータまで出るのですごい。

スポーツ用品業界 平均年収ランキング (平成27-28年)

  企業名 平均年収(万円)
1 シマノ 853
2 ダンロップスポーツ 702
3 アシックス 691
4 グローブライド 637
5 ミズノ 624
6 デサント 585
7 ヨネックス 528
8 遠藤製作所 526
9 マルマン 519
10 グラファイトデザイン 467
11 ゴールドウィン 433

こりゃ、就職するならシマノかな・・・。

 

ヨネックス、えらい。

しかしシマノはともかく、後発でマイナースポーツから抑えていったヨネックスの頑張りがよくわかるデータとなりました。
ラケットでも表裏でカーボンの強度や弾性を変え、オフェンス面とディフェンス面に振り分ける「あしゅら男爵」的ラケットを販売するなど、攻めの姿勢を見せつつ、2位以下のメーカーが新しいことをすると、即かぶせていって潰しにかかる獰猛さ。小売店に圧力をかけて公正取引委員会に立ち入り検査された疑惑の過去もあったりします。

シューズでも振動吸収重視、一体成型ブーティ構造など新機軸を続々打ち出しています。今度はさらに靴の中央部と外側で強度を変え、より素足感覚で体重移動を可能にする「Z」シリーズの靴も二連続で投下してきました。これは完全にミズノに最後に残った私のような「薄底派」まで刈り取っていくような試みです。買っちゃいそうな予感がプンプンします。だってミズノがミズノファンを裏切ってるもの。

他にもヨネックスは、自転車界を席巻したBoaダイアルをいち早く導入したり、ロードバイクを作っちゃったり、そのロードバイクがむちゃくちゃ評価高かったりと、他ジャンルへのアンテナもビンビン。ああそういえば、Jリーグのユニフォームも柏レイソルとアビスパ福岡がYONEX!石川遼や大阪なおみに早くから支援を行うなど、巨大コンツェルンと戦うための戦略を常に考えて、徐々に存在感を増していっております。

デザインは正直ダサいが、機能は圧倒的、価格も圧倒的。

上をどんどん喰いながら、下はガンガンに叩くやり口はまるで新興受験刑務所的進学校のようでちょっと怖いものの、常に企業努力している点だけは間違いないですよね。

車のトヨタ、自転車のシマノ、バドミントンのヨネックス、洋服のユニクロ。伸びていく企業って言うのは共通点ありますよねー。

まぁ、偉そうに言って、全部にお世話になってるんスけどね!