何にもしないでオッケー!
「母の日に なんにもしない それがうち」 正直過ぎる児童の俳句に特別賞/兵庫・篠山市
いいですね。俳句はよくわかりませんが、いいと思います。
「母の日に なんにもしない それがうち」
この手の発想の作品は実はけっこうあると思うんです。クラスで一人はいるんじゃないでしょうか。
ただ、語感とか詠み終わったあとの潔さかとか、この語順と言葉のチョイスが実にいい言い切りになっていますね。発想というよりはむしろそこのところの評価かなと思います。
ただ、何にもしなくていいけれど、そんな「うち」の、ごくあたりまえのようにつづく日常が、実は全然あたりまえではなくなる日がくるんだよ、っていうことも、いつかは知らなくてはいけません。
あたりまえはあたりまえじゃなくって、あたりまえじゃないと思ってることが、実はあたりまえなんだということ。
大好きな人との楽しい日常が、いつまでもあるわけじゃなくって、そうしてそういう、日常が当たり前ではない、ということが、人間の当たり前なんだということ。
そういうことを、今は何も知らないことが、でも素敵でうらやましくもあります。できればずっと知らないでいてほしい。でもいつか必ず知る。この屈託のない笑顔を、ただただ今は見守りたい、そんな気持ちが、この俳句を選んだ気がしますね。