慈眼寺 副住職ブログ

梅田のmont-bellがえらいことになっていた件

なんか最近お寺や仏教関連の更新が少なくなっております。
日々、勤めに追われ、インプットの余裕がない残念な状況であります。
もうちょっと余裕のある状態にしたいような、いや、これくらいがええんじゃないかなと思うような、微妙な感じであります。

そんなある日、昼から少し時間を頂き、空は雨模様。今日は普段いかない都会をそぞろ歩きしてみよう、と一人で平日の大阪を歩きました。

色々なところでヘルメットをかぶったり、靴を試し履きしたり。

最後に地下鉄代をケチって、難波から心斎橋まで歩き、心斎橋から本町まで歩き、うーん、ここまできたら梅田まで歩けるよな?と小走りに走って梅田着。しんどいといえばしんどいし、ジョギングだったら余裕だし。

自転車屋さんなどいくつか回って最後に行くのが最近自分的に一番行くのが楽しい「ALBi」。
JR大阪駅すぐ横の以前は郵便局があった隣の建物なのですが、アウトドアメーカーがたくさん入っています。

もう洋服なんてユニクロにしか用がないですし、お父さんたちがなんとなく時間を潰せるのがアウトドアのお店。
別にすぐにキャンプをするわけでもないのに、テントを見たり、バーナーを見たり、チタンのマグカップを持って「軽ッ!」って叫んだり。ここだとスノーピークの直営店もコロンビアもマーモットもKEENもあります。当然モンベルもあります。奈良も山に囲まれてるんだからこんなのできたらいいのになぁ。

で、いつものように見るだけ見て、最後にモンベルに入って・・・

え?

ナニコレ?

自転車屋さんですか?

 

おおーう。見慣れ過ぎてもはや他人のものと思えないJARI!よくよく見ればKONAまで!

こっちはBREEZERも!

FUJI、BREEZER、KONA!錚々たるグラベル軍団!

なんと!ノルマが厳しいキャノンデールのグラベルのみがこんなに!俺は今恐ろしいものを見ているのでは!?

もともとモンベルはけっこう自転車ウェアに進出していて、ジャージやヘルメットなど一通り揃えていました。たしかシャイデックとかいう発音しにくいロードバイクも独自開発(OEM?)し、デュラの完成車50万とか「誰が買うねん」みたいなのを用意していたはず。

しかしここには完全なるグラベルの世界が!しかも思いっきり他社製!この店舗だけなのか・・・?どうやら関西では最も自転車に力を入れている店舗の模様。専門の店員さんいるっぽいし。スゴイですね。コレは。

ヘルメットもLAZERとか置いてありましたしね。(まぁLazerって今はシマノだしな)

いやーすごい。山登りの人からグラベルロードって、まぁ単純に考えたら親和性高そうな気もするんですが、どうなんでしょうかねぇ。走れるところまで自転車で行って、あとは登る?まぁ、キャンプ好きの人がグラベルに色々搭載してキャンプ旅っての、楽しそうですよね。

今は自転車ブームも完全に冷え切って、メーカーも真新しいもの出さないとって言うことで「これからはグラベルッスよ!」みたいな押し売りがいい加減結構耳に触る部分あるんです。

「なんにでも使える!」ってのをガンガン推してくるわけですが、それって別にクロスでもマウンテンでもええやん、グレートジャーニーでええやん、ランドナーでもええやんというところでもあり。だいたい未舗装路そんなにないやんみたいな。

いや、グラベルあかんというてるわけやないんです。

ただ、雑誌やネットの記事がやたらと「万能性」を売りにしてくるんですが、「何にでも使える」は逆に言えば「帯に短したすきに長し」とも言えるわけで、「ロードほどの爽快感もなく、マウンテンほどの走破性もなく」ともとらえられるわけで。

で、何が言いたいかというと、世の「これからはグラベル」という内容の宣伝のたぐいは、「何にでも使えるので、あとはご自由に!」という非常に空虚なものが多いということです。

もっと具体的に、「グラベルでこんなことして超楽しかった!」というようなリアルなエンジョイ記事がほとんどない。

「グラベルに鍋釜積んで吉野の山まで行って現地で貰ったイノシシの肉でバーベキューしました」

とか、

「グラベルでブルべ出てみました。行者還の下りでの走破性がすごくて、今回参加者でこの区間一位でした。」

とか、

「グラベルで奈良からフェリーを乗り継いで高知県まで行きました。現地でウナギ食べて大満足で帰りました。」

とか、

「グラベルで山に入ってキャンプを張って一夜を明かし、朝起きたら雲海がすごかったです」

とか。

そういうの!

「楽しめる」ではなく、「楽しかった!」がほしい。

結局売りたいだけやん。本人使ってないやんという。

もちろん楽しそうなグラベルのブログなどもあります。でもメーカーの提灯記事の薄っぺらさにはどこかしら「売る方も実はそんなに売れるとは思ってない」感じがすごくします。しゃあなし感。

とはいえ、グラベル自体には、ロードが否応なしに巻き込まれる「早く走らねば!」の「ねば」の部分とか、機材にとんでもない金をかけて芸術品のように床の間に飾るだけの文化とは一線を引いた、肩の力が抜けた感じ、一段階段を降りた感じ、つまりは「自由さ」が魅力としてあるのは間違いありません。同時に、自己責任の重さも。

まぁそのへんの「自分でなんとかする」感じは山登りの人の方の専門分野だと思いますので、登山ショップがグラベルロードというのは、まさにうってつけなのかもしれません。

とにかくすごいぞモンベルALBi店!というお話でした。