コロナ禍のなかで起きた、一つのドラマ④
4月。
色々あってものすごい紆余曲折を経て、いよいよフレームが到着!
お・・・。
おおお・・・。
おおおおおお!!!
ほれぼれします!これはこれだけでお酒飲めるやつ!
しばしラガッツィの汚い床の上に二人で胡坐をかいてフレームを眺めます。実に素晴らしい。
なんなんだこの模様は。ラグは。
特に模様。なんやねんこれ。ヒョウ柄?ほのお?なんでもいいけどカッコいいから最高!(実際は「草の根」らしいです)
ズッロのフレームはヴェローナでTizianoさんが自らトーチをふるい、溶接をしたものばかりですが、このツールに至っては、塗装も完全にTizinoさんの門外不出の塗り方で塗装されています。元選手であり、ビルダーであり、ペインター。こんな人、もう何人残っているんだろう。
カラーもオリジナルでオーダーすることも可能でしたが、個人的にはカラーリングをオリジナルにすることにはそれほどこだわりがなく、むしろ、歴史や由縁のあるカラーこそが、商品として洗練された無駄のないもので、それがズッロさんを象徴するカラーであるなら、これが一番いいと思い、悩むことはありませんでした。パンタレイを選んでいてもこのカラーにするつもりでした。
しかし問題はここから。
まず、コンポは基本的には以前使用していてストックしてあるものを流用して、費用を最小限に抑えます。
クランクはシルバーでないと!みたいな変なこだわりは全然ないので、普通にあるものを使用し、カーボンのクランクです。ただ、幸運にも、このコンポを買った際に、以前お願いしていたお店でこんな経緯がありました。そのときもお金がなかった私をみかねたのか、店長さんがこんなオファー。
「ウチの在庫にいくつかシルバーパーツあって、それとミックスでよければ、アテナの価格でコーラスをお譲りしますよ!」
当時は意味もよくわからず、「お得やん!」とだけ思っていましたが、ここにきてシルバーパーツ俄然役立ちます!エルゴレバーとクランク以外はシルバーパーツ!今となっては探しても高すぎて買えないヴィンテージパーツであります。
これでコンポはほぼタダでOK。
問題はパーツです。
これも手持ちのものを流用しようとしたのですが、ツールは古式ゆかしき1インチスレッドタイプのヘッドパーツを使用しています。当然ステムもクイルステム。だからハンドルも現行のぶっといものは使えません。
そうなると急に選択肢が狭まります。具体的にはデダで探すか、NITTOのみ。
さてどうしたもんかなぁ~と悩んでいたところ、ラガッツィの店長が安田さんに軽く「なんか余ってない?」と聞いてみたところ、「あるっちゃーあるで~」と気軽な感じで送ってこられたのが、なんだか茶色いパーツ。
え?コレなに?
と思っていると、よく見ればステムとシートピラーには「ZULLO」の刻印。もとはデダのパーツだと聞いたけどもしかしてこの茶色・・・。
塗装???
塗装です。参りました。安田さん自らが塗装したパーツです。
「ショーに出したときに使ったやつやねん。こんなんでよければ。」
ショー用!ちょっとちょっとちょっと!なんちゅーレアなモノを!
しかしめっちゃ気を遣うじゃないですか!塗装やったら剥げるやん!こんなに酷使される個所にそんな繊細な!嫁さんがいきなりミスユニバースみたいな!ウチはそういうの、求めてないんで!
そのパーツがこちら・・・
な・・・なんて気品あふれる・・・。
もとはデダの普通の製品なんですが、ここまで変わってしまうとは・・・。しかもお値段はオリジナルにちょっと毛が生えた程度。安田さん!もっと取ったほうがいいって!(俺の次から!)
さらにそのとき安田さんから連絡。
「ツールがサイスポのサイトに載ったで」
マジか!タイムリーやん!どれどれ・・・
ちょ!!!この写真!!!
俺のやーーーーーーーん!!!
単に同じモデルっていうんじゃなく、俺のフレームやーん!パーツもコレやーん!
これは・・・一生の宝物になってしまいました。
自分の「上がり」のつもりで清水の舞台から飛び降りるつもりでオーダーしましたが、想像を超えた素晴らしい「上がり」の逸品になりそうです。