コロナ禍のなかで起きた、一つのドラマ⑤
パーツが順調に集まっていき、残るはハンドル、サドル、ペダルあたりになってきました。
すでに述べたように、ハンドルはクランプ径26のものに限定されるのでほぼ自由度ナシ。カラーをブラックにすべきか、シルバーにすべきか、さんざん悩みました。最初はカーボンパーツに合わせて黒を考えましたが、正面から見ると、ブレーキはシルバーだし、ヘッドセットもシルバーだし、ステムの茶色を「黒に近い」と考えるか、いっそシルバー部分に合わせるか・・・。ステムが塗装してあるために、気楽にパーツ交換もできません。(安田さんはそれゆえ普段は塗装したステムやシートポストは推奨していません。今回はショーバイク用パーツを分けてもらったので)
で、結論シルバー!
というわけで、ここまで決まると即NITTOに決まりました。安いし。
自転車趣味でない方にはなぜこんなことで時間をかけるのかわからないかと思いますが、まぁ、この時間が一番楽しいもので。
ペダルは現在使用中のSPDをこれにも使うことも考えましたが、ツールモデルにSPDもアカンやろうということで。そもそも愛車にSPDを使用しているのは、輪行で帰ってくる場合の利便性を考えてのこと。帰りの電車などでサイクルシューズでカツカツ歩くのは怖いし、そのために帰宅用の靴を持っていくのも重いし。ツールは塗装のダメージがこわすぎて輪行は絶対ダメなので、使用用途は行って帰ってくるロングライド。そう考えればSPDではなく、SLの歩きにくい靴でOKです。そんなわけで、LOOKの真ん中くらいのペダルに即決まりました。実はカンパニョーロのシルバーのペダルも考えたのですが、めちゃくちゃ高くて、めちゃくちゃ重くて、しかも互換性がないという芸術品なので、見た目にはおおいに惹かれましたが却下しました。
あ、そうそう!ホイール!普通パーツの中でもかなりお金がかかるホイールですが、これまた以前現在の愛車に使用していたロングライド用手組のホイールがタイヤ付きでバッチリありましたので、ちょっとだけ汚れてるけどそれで流用!奈良~敦賀往復で一日300㎞走ったホイールですので、実績十分です。
最後にサドル!
普段から「なんでもOK」の節操のないお尻で、いろんなサドルに着せ替えて遊んでいるので、手持ちのサドルで何とでもなる・・・と思っていたのですが、ここで問題。
シートポストも塗装されているため、おいそれと高さを変えられない。つまり、サドル交換はほぼ不可能!
そして何よりツールはホリゾンタル。
クラシッククロモリのホリゾンタルにこだわって、シートポストが全然でてないちょっとカッコ悪い仕上がりを何度も見てきました。いや、仕方ないんだけども。
そう考えると、いかにもクロモリに似合いそうなリーガルやロールスはその厚みのデカさにちょっと躊躇します。ツールに「これしかない!」というほどに似合っていれば別ですが、そこまででもなさそう・・・。
条件として、なるべく薄くて、ツールに似合う、この二つの条件でサドルを吟味して吟味して・・・。
結局コレしかない!となったのが・・・
セライタリアSLRヌバックです。
間違いなく合う。そして超薄い!うすうす!さらにチタンレール!
このあとも、これに合うセライタリアのバーテープが完全に売り切れていて(コロナの影響か?)、結局微妙にズレた色のバーテープしか見当たらずに妥協するなどの紆余曲折を経て・・・
ようやくツールが形になってまいりました。7月のことでした。
ラガッツィの名誉のために言いますと、ここまで遅れたのはパーツが揃うのが遅れたことと、私のお金がたまってないので、なるべくゆっくりでいいよと言っておいたこと、さらにもう一つのイレギュラーな要素がありました。
コロナです。
コロナのせいで3~4月の自転車屋さんの春の入学、転勤シーズンの自転車需要は悲惨なことになっていました。ところが、自粛&テレワークへの移行に伴い、今度は公共交通機関を避けて自転車を購入する人が激増。さらには空いた時間を利用して今まで全然乗っていなかった10年前の自転車を引っ張り出してサイクリングしたい!という修理依頼が殺到!さらには!10万円の給付金を握りしめてロードバイクを購入しにくる新規のユーザーが殺到!「災害時に自転車屋が儲かる」という法則を打ち出したいほどに、ここ最近すっかり冷え切っていた自転車需要がめちゃくちゃ高まっていました。そんなわけでいつ行ってもラガッチは修理車でこんがらがっており、店長も顔が疲れ切って意識朦朧。
「俺のはいつでもええよ・・・」
「ごめんな・・・。気合い入れて仕上げたいし・・・」
というやりとりを数か月つづけて、ようやく落ち着いたころに(ほんとはまだ落ち着いてない)、私の自転車の仕上げにかかりました。
そんなわけで先日ようやく・・・・
ZULLO TOUR’91完成(仮)!
(仮)なのはシートポストの高さはちゃんと愛車に合わせたものの、万一変えたくなった場合に動かせないので、仮のシートポストで済ませているためであります。完成体になったあかつきには、ステムとお揃いの茶色いシートポストがつきます。
やっぱりレースモデルなので、ノーマルクランクが似合います!
願わくばバーテープがもうちょっとフレーム色に近いか、サドル色に近いかしたら最高ですが、そんなバーテープが見つかるまではこのバーテープを汚して近づけていきます!レザーにこだわらず、普通に白のコルクでもよかったかなと思いましたが(笑)
完成体ができたらここで撮影する!と決めている場所がありますので、ほんとのお披露目はそのときに。ええカメラであらゆる角度から撮ります!
こうして去年末オーダーから4か月で紆余曲折を経て到着したフレームが、3か月かけて完成しました。長々失礼いたしました。