都祁 来迎寺通信
そういえば、今年は兼務する都祁来迎寺関連で書きたいことが色々あったのに、忙しくて書いてないことがいくつかありました。
今日はまとめて紹介します。
まずは秋。
国立博物館に修復をお願いしている「地蔵十王図」の修復過程を見て頂きたい、というお話を頂き、文化財保存修理所に入れて頂きました。普段は滅多に入ることのできない場所で、年に一度だけ抽選で見学ができる模様です。この日は私一人だけ入れてもらって恐縮です。
想像より近代的な建物に入り、階段を降りると、そこには三つの区画に分かれた修復所が。「書画」「彫刻」「鎧」だったと思うのですが、三つの会社がその中で黙々と修復作業を行われておられました。
私はそのうちの「書画」を担当なさっている文化財保存さんのブース、と言っていいのか、そちらにお邪魔して修復作業の進捗状況を伺いました。ちょうど表具の裏打ちされている部分が剥がされ、実際の絵画の下絵の部分と分離されている状況で、「今しか見られない絹糸の下の部分の色が見られます」ということで、室町時代に作られたとされるこの曼陀羅の700年分の地層を垣間見るような、素晴らしい経験をさせていただきました。表で見えているのとは違う色が下絵の部分に塗られていたり、過去の修復の過程が見られたり、絹糸の補強がどれほど繊細な作業によってなされているかなどを拝見させていただき、私なんぞにはもったいない素晴らしい経験をさせて頂きました。
ついでに、といっては語弊がありますが、外から仏像や鎧の修復も見させていただき、「え!あの仏像が!」という仏像やら絵画の修復家庭もちらっと見られたりして、本当に貴重な体験でした。文化財保存さんと奈良市役所文化財課さんには感謝感謝であります。
次は先日。12月23日。
某雑誌(発売前には言います)の取材で、来迎寺の善導大師坐像が掲載されることになりまして、都祁村に向かいました。
ところが!
少し前なのでみなさんも覚えておられるでしょう!12月23日には全国的に大荒れで大寒波が訪れた日!
慈眼寺を出発したときすでにあられのような雪がちらついており、「都祁はアカン・・・。これはアカン・・・」とびびりながら運転しました。
スタッドレスには替えていたものの・・・田原につくとすでに雪景色。
さらに新しいトンネルをこわごわ越え、針につくと・・・
とんでもない状況でした。
あわてて取材の方々が通るための道を作り、本堂を掃除していると、出版社のみなさんと仏教美術の先生が到着。
いろいろな話をしながら、「いままでの写真は善導さんの本当の姿をとらえていない。近くで見た善導さんのお姿は印象が全然違う。それを写真で表現しよう!」というコンセプトで、カメラマンさんはじめみなさんで試行錯誤されて、「今までにない来迎寺善導大師坐像」が撮れたと思います。これは来迎寺ファンにとっては垂涎の一枚になりそうです。実物をご覧になった方でさえ、「あれ?こんな感じじゃなかったと思うけど!」とビックリされると思いますね。
来年の2月から5月の間のどこかで掲載されるようですので、近づいてきたらまたお知らせします!